日本代表、決定力不足解消のための2つのアプローチ (3ページ目)
ドイツ代表はトレーニングで選手を2チームに分けて、ゲーム形式でセットプレーを競争させ、そこで選手たちがアイデアを出し合い、さまざまなトリックプレーが生まれたという。日本でも、反町康治監督(松本山雅FC)など、セットプレーで豊富なアイデアを持つ指導者は多くいるのだから、日本代表もセットプレーを武器にすることは可能なはずだ。
私の記憶ではW杯ブラジル大会からアジアカップまでの間に、日本代表がセットプレーで変化をつけたのは1、2回しかない。アタッカーにタレントが揃い、高さも強さも備えるドイツでさえ、セットプレーの入念な準備をしているのに対し、日本はあらゆる方策を試しているとは感じられないし、まだまだ改善の余地は残されている。
向き不向きから考えても、セットプレーのクオリティを高めて、バリエーションを増やす細かな作業は、日本人に向いているのではないか。目標に対して時間を費やして準備をし、反復しながらパターンを習得するのは、職人の伝統や技が残る日本文化に適(かな)っていると思うからだ。
特定の型を持つことに対して、「研究されると何もできなくなる」という意見もある。確かにひとつの型しか持っていないならそうだが、豊富なバリエーションを派生させることで対応は可能だろう。日本代表選手がチームとして一緒に活動できる時間は限られているものの、パターンが決まっていればあらかじめ想定できるので調整しやすいというメリットもある。
新たな代表監督が誰になるにしても、真の意味で日本人の特性をきちんと把握し、課題を克服できるように取り組み、日本代表をさらに成長させてもらいたい。
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