福田正博「なぜ日本人FWはシュート意識が低いのか」

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Hara Etsuo

緊急特集「よみがえれ! 日本サッカー」(3)
福田正博が提案する「35分の1からの脱却」後編

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 アジアカップ準々決勝のUAE戦で、日本代表は35本のシュートを打って決まったゴールは1点だけだった。結局、勝ち越しゴールを奪えずに、日本はPK戦の末に敗退(1-1。PK4-5)。こうした決定力不足は世界中の代表やクラブチームが悩まされている問題だ。ただ、日本代表の場合は、特に問題が根深い。それは、シュート技術の低さだけでなく、「シュートへの意識が低い」という、日本人選手と欧州や南米の選手とのメンタリティの違いがあるからだ。

 強豪と言われる国では、選手を評価する大きな柱に「ゴール数」がある。そのため子どもの頃から、おのずとシュートへの意識は高くなり、ゴール前では常にシュートを最初の選択肢にしてチャレンジしていく。

 テクニックに関しても、すべてはゴールを決めるためのテクニックであり、そのための方法を考え、技術を磨くことを繰り返しながら、決定力を身につけていく。このように海外のストライカーたちには、ゴールという結果を求める環境ができあがっている。

 一方、日本ではシュートを決める選手よりも、ラストパスを通す選手の方が脚光を浴びることが多く、「ごっつあんゴール」よりも「流れの中の美しいゴール」を評価する傾向が強い。世間やサポーターがそういうサッカーを好むためだが、その環境で育った選手たちは、自然と「ストライカー」よりも「パサー」であること、「結果よりも内容」を求めるようになっていると私は感じている。

 また、シュートに積極的にチャレンジしないから、ミスをして改善していく回数が少なくなり、技術もなかなか向上していかない現実がある。

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