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福田正博が語る「W杯から日本が学ぶべきこと」 (3ページ目)

  • photo by JMPA

 そう考えていくと、グループリーグで敗退してしまった日本は、W杯出場国のなかでは強豪ではない。つまり、横綱相撲をとれる国ではない。だからこそ、格上のチームに勝つために、相手に合わせて策を講じていかなくてはいけない。

 クラブチームであれば、中堅クラブが、強豪にどうやって勝っていくかということと同じだ。たとえば、オシム監督時代のジェフ千葉は、浦和との試合でマンツーマンを採用し、阿部勇樹(当時千葉・現在浦和)を浦和のMFロブソン・ポンテにつけて、古典的と言われた。しかし、攻撃的とか守備的、現代的とか古典的ではなく、相手と自分たちの力を正確に見きわめて、勝つためにそれが必要と判断したから、そのやり方を選択したのだと思う。

 そして、今回のW杯で、同じような試合があった。オランダはアルゼンチンのメッシに対して、デ・ヨングをマンツーマンでつけて戦った。メッシは守備をしない。そのため、オランダが攻撃に転じたとき、デ・ヨングが攻撃参加して、オランダが数的優位になれるという判断だ。千葉と浦和の試合でも、あまり守備をしないポンテに阿部をつけることで、千葉の攻撃時に阿部が前線に上がり、数的優位をつくることに成功していた。もちろん、マンツーマンにはマンツーマンのデメリットもあるが、それを理解したうえで、戦い方のひとつとして持っていることが重要ということだ。

 何よりも勝つこと。それが最大の目的だ。それを達成するために、技術、戦術、体力と、さまざまな武器を使って、相手と駆け引きをしていく。勝つために、すべてを出し切る。「自分たちのサッカー」を確立することも重要だが、それだけではなく、「勝つため」に知恵をふりしぼる。Jリーグでも、日本代表でも、ここをもっと強く意識してほしい。

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