福田正博が語る「W杯から日本が学ぶべきこと」 (2ページ目)
現地でグループリーグのアメリカ対ドイツの試合を見て驚いたことは、ドイツの運動量の多さだった。とくにFWのミュラー。彼は、90分間ずっと動いて駆け引きをしていた。何度も動き直して、ボールのないところでも相手DFと駆け引きをする。しかも、まわりの選手とも連動している。パスをつなぐために、ボールさえ動かせばいいという時代ではない。効率よく全員が走る。そして、そのためにはフィジカルコンディションのよさと、チームの総合力が必要になる。
また、ブラジルW杯は、GKがクローズアップされた大会でもある。注目すべきは、GKのシュートストップの回数よりも、守備範囲の広さだ。たとえば、ドイツのノイアーは、バイエルンでグアルディオラ監督の指導をうけたことで、さらに守備範囲が広くなった印象がある。そのドイツの守備ラインの高さはノイアーの存在があればこそ。そして、高いライン設定の守備ができて、陣形がコンパクトだからこそ、攻撃に人数をかけられる。ラインが高ければ、ボールを奪ったときに相手のゴールまでの距離が短いということでもある。
今回のW杯は、途中出場の選手が活躍した大会とも言われるが、それは、サッカーがよりスピーディになって、よりタフになっているため、先発選手が疲労してくることが関係していると見るべきだろう。もちろん、控え選手のレベルがレギュラーと遜色のない高さにあるということも見逃せない。ベスト4まで勝ち上がったチームは、すべてそれがあてはまる。
決勝戦では、ドイツの途中出場選手のシュールレ、ゲッツェが活躍した。これも、選手層が厚くないと勝てないことの表れといえる。監督采配はもちろん重要だが、それ以上に、レベルの高い選手を23人そろえることが、W杯で勝つために必要になっている。
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