激戦の優勝争い。不気味なのは3連覇狙う「王者」広島

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke

7月特集 Jリーグから始めよう(4)

 ブラジルW杯開催による中断前のJリーグ前半戦、サンフレッチェ広島はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を同時にこなしながらも、首位・浦和レッズとは勝ち点7差の6位と、まずまずの順位で終えた(第14節終了時点。サンフレッチェはACLがあったため、1試合少ない13試合を消化)。迎えた後半戦、ラウンド16で敗退したACLがなくなり、比較的楽なスケジュールになることもあって、リーグ3連覇を狙う"王者"の反撃に注目が集まっていた。なにしろ昨季も、中断前の第14節終了時点では首位・大宮アルディージャから勝ち点6差の4位だったが、そこから巻き返して連覇を達成したからだ。

広島の攻撃を組み立てる高萩洋次郎。広島の攻撃を組み立てる高萩洋次郎。 だが、本格的な再開を前にして行なわれた未消化の第12節(7月15日)、横浜F・マリノス戦を1-2と敗戦。リーグ全体の再開初戦となった第15節(7月19日)のアルディージャ戦では、前半で3-0とリードしながらも後半に追いつかれて、3-3の引き分けに終わった。

 ともに先制していただけに手痛い結果となったが、とりわけアルディージャ戦は、王者・サンフレッチェらしからぬ試合運びだった。連覇を果たした昨季、リーグ最少失点(29)を誇った堅守・サンフレッチェならば、3点もリードしていれば、難なく勝ち点3を挙げられたはずだ。試合後、DF塩谷司は唇を噛みしめた。

「自分が広島に加入してから(2012年シーズンの途中に水戸ホーリーホックから移籍)、こんなことは初めてかもしれない。1-0を逆転された試合はあるけど、3-0から追いつかれるなんて......。今までならば、3-0できっちり終われている試合。広島の一員として戦ったゲームの中では、一番悔いが残るゲームだった」

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