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激戦の優勝争い。不気味なのは3連覇狙う「王者」広島 (3ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke

 というのも、選手、監督ともに、現状の悪い部分をしっかりと把握し、改善点はどこにあるのか、きちんと認識していたからだ。なおかつ、森﨑和や高萩の話を聞いてもわかるとおり、問題の根底にあるのは選手個々のちょっとした意識の違い。自分たちの戦い方、方向性について、チーム全体で改めて意志統一が図れれば、本来の姿を取り戻すのにそれほど時間はかからないはずである。そういう意味では、早々に問題点が露呈したことは、かえってよかったとも言える。

 実際、第16節(7月23日)の柏レイソル戦では、先制点を許して守備には若干の不安を残しながらも、5-2で快勝した。

「結局、(王者である)我々に対して、他のチームは高いモチベーションで必死に戦いを挑んでくる。何よりうちとしては、それに打ち勝っていくことが大事」(森保監督)

 また、心強いのは、攻撃面においては明るい材料がふんだんにあることだ。まずは、スムーズなコンビネーションプレイがよみがえりつつあることが大きい。

 シーズン序盤はACLも平行して戦う過密日程で、試合の合間はほぼコンディション調整に時間を取られていた。しかしこの中断期間で、攻撃コンセプトの確認や連係においても、十分に時間を割くことができた。おかげで、1トップ、2シャドーを担う前線の選手たちが、“あうんの呼吸”を取り戻してきたのだ。

 アルディージャ戦の前半終了間際には、ゴール中央で2シャドーの一角を務める高萩が、もうひとりのシャドー、MF石原直樹にボールを預けると、すかさずリターンをもらって敵DFラインを突破。そこから、ゴール前のスペースに走り込んできたFW佐藤寿人にラストパスを供給し、佐藤がゴールネットを揺らした。

 惜しくもこのプレイはオフサイドとなり得点にはならなかったものの、広島の真骨頂とも言える華麗なパスワークだった。レイソル戦でも、石原と佐藤のコンビプレイで得点を記録。決定機を多く生み出すようになった3人のコンビネーションプレイは、今後も対戦相手の脅威となるはずだ。森保監督が語る。

「(中断期間中の)室蘭キャンプでは、攻撃のコンビネーションの部分で、チームがやろうとしているコンセプトを再度確認してきたし、練習で時間を割いてきた。それが、大宮戦でも出せた。うちがやるべきことを100%出し切れば、相手を圧倒して主導権を握る戦い方はできる。その自信を持って、次に進んでいかなければいけない」

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