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破竹の開幕12連勝。湘南にいったい何が起こったのか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text & Asada Masaki photo by AFLO

 今のJ2に、湘南の連勝を止められるクラブがあるのだろうか――。湘南の試合を見ていると、そんなことさえ思えてくるのは、攻撃的なチームにありがちな「脇の甘さ」がないからだ。

 第10節で湘南と対戦し、0-3で敗れた京都サンガのバドゥ監督は、「湘南はボールを奪うと、どんどん選手が前へ出てくる。そこでボールを奪い返すのは難しかった」と試合を振り返り、「今まで対戦したなかでは、より完成されたチーム。J1でも、なかなかないほどスピーディだった」と評したほどである。

 とはいえ、「よく走る」サッカーは、掛け声さえかければ誰でもできるというものではない。湘南のサッカーを実現する要因となっているものは何か。

 そのひとつとして挙げられるのが、湘南の曺貴裁(チョウ・キジェ)監督が、「去年は『いい試合』しかできなかった」と振り返る、昨シーズンのJ1での経験である。指揮官が語る。

「選手たちは去年の悔しさを晴らそうとやっている。それは、監督やコーチが言っても、選手がそう思わないとできないこと。選手はJ1で通用したこと、しなかったことを肌感覚で分かったと思う」

 昨シーズンの湘南がJ1で見せた戦いぶりは、決して悪いものではなかった。ベースとなるスタイルは今シーズンと何ら変わらず、選手はハツラツとよく走った。だが、『いい試合』はできても、勝つことは難しかった。その結果が、1年でのJ2逆戻りだった。曺監督は、「ただ走るのではなく、ボールに早く寄って早く奪いに行く。そこで相手の自由を奪えば(相手に)ミスが出る。だが、去年は(J1では)行こうとしたけど外された」と話す。

 それでも45歳の熱血監督は、J1の壁にはね返されたからといって、現実的な戦いへと舵を切ることはしなかった。

「そこで(ボールを奪いに)行くなと言ったら成長しない。それができるようになれば、選手の評価や価値も上がるから」

 当の選手たちも、思いは同じだ。背番号10を背負うMF菊池大介は言う。

「J1ではどんなに走っても、ワンチャンスを決められて負けてしまった。なので、走ったなかでどれだけいいプレイができるか。プレイの精度を意識してやっている」

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