宇佐美貴史「W杯を目指す。次でいいやと思ったら、その次もない」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

宇佐美貴史(ガンバ大阪)インタビュー

 この夏、宇佐美貴史がガンバ大阪に帰ってきた。復帰戦となった神戸戦では、いきなりの2ゴールで場内を沸かせた。

 19歳だった2年前、ドイツの名門バイエルンへのチャレンジを果たした宇佐美だが、出場時間はわずかだった。翌年は強豪から一転、ホッフェンハイムで1部残留争いを経験したが、スタメンに定着することはできず、不安定なチーム状況と相まって今回の選択に至った。

 ドイツで結果こそ出せなかったものの、帰国後に見せるその姿は2年前とはうってかわって力強い。宇佐美がこの2年間に多くのものを得たことは想像に難くない。

2年ぶりにガンバ大阪に復帰した宇佐美貴史2年ぶりにガンバ大阪に復帰した宇佐美貴史――2年間のドイツ生活を経て、ガンバに戻りました。

「ガンバに戻ることに違和感はないし、家に帰る感じなんですけど......。家出して帰ってくるのって、気まずいじゃないですか。そんな感じです。『いってらっしゃい』と送り出してもらって、2年で帰っていいのかというのもありました。こだわりは欧州にあったと思います。ただ、いろいろな葛藤、『帰ったらどうなるかな』とか『欧州のブンデス1部からJ2ってどうかな』とか、そういう要素を全部排除して、ガンバでの成長とブンデスでの成長とではどっちがいいのかと考えたら、自分はガンバだと思って戻りました」

――なぜそう思えたか、決定的な要因はありますか?

「決定打は愛情。愛着を持ってクラブのために尽くせるっていうところだと思います。たぶんそれがないと無理。自分の甘さでもあるんですけど、やっぱりレンタルだと、買ってもらわなければいけないから、愛情を持って『このチームのために』という感情でやれないかなって。チームを好きになれないとチームメイトに対しても献身できない。そこが一番の決め手ですね。昨季の最後、正直なところホッフェンハイムが1部に留まろうが2部になろうが、どうでもいいと思ってた。そう思っている自分がすごくイヤだったんです。かなりそこは決め手でした」

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