日本人FWが上位独占。今、Jリーグ得点王争いが熱い (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by AFLO

 それにしても、今季はシーズン序盤からハイレベルな得点王争いが繰り広げられている。それは昨季の同時期(第12節終了時)と比較すれば明らかだ。

 今季も昨季もトップが佐藤の9ゴールというのは同じなのだが、これに続いて昨季は7ゴールがひとり、6ゴールがひとりいただけなのに対し、今季は8ゴールの2位タイに4人もの選手が居並ぶ激戦となっている。

 しかも、昨季の2位、3位がキム・ボギョン(当時C大阪)、マルシオ・リシャルデス(浦和)と、いずれも外国人選手だったのに対し、今季は4人の日本人選手がトップの佐藤を追っているのだ。

 ちなみに一昨季の同時期は、アドリアーノ(当時G大阪)の6ゴールをトップに、4ゴールの3人が2位タイで並んでいたことから考えても、今季の争いが近年にないハイレベル、かつ熾烈なものであることが分かる。

 とはいえ、この日ノーゴールでトップの座を明け渡した渡邉が「そこまで周り(他の選手)は意識していない」と話していたように、当事者たちはさほど得点ランキングを意識してはいないようだ。

 2ゴールを決めた柿谷が「もっと決められるチャンスはあった」と話していたのも、ランキングを意識したものというより、FWとしての仕事を全うしたいという気持ちの表れだろう。

 まして今季全34節のうちの12節が終わったばかり。渡邉が「まだ(シーズンの)3分の1しか終わっていない。(周りを気にするよりも)しっかり得点を重ねることが大切」だと話すのも、うなずけるところである。

 むしろ今季の得点王争いをハイレベルなものにしている要因は、彼らが個人タイトルよりもチームの勝利に対する貢献を強く意識していることであろう。工藤を擁する柏のネルシーニョ監督は語る。

「工藤は大事な試合で決めるようになった。得点王争いだけでなく、目に見えないところでのチームへの貢献度には目を見張るものがある」

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