なぜザッケローニ監督は「3-4-3」を封印しているのか?

  • photo by D.Nakashima/AFLO

福田正博 フォーメーション進化論 vol.42

 プロサッカークラブや代表チームの監督は、現在のサッカーのトレンドをどう取り入れるかということや、世界の最先端の戦術を常に意識しているもの。そのうえで、自分の目指すサッカーのスタイルや選手の特性を考え、チームをつくり上げていくのだと思う。

 たとえば、イタリア代表のプランデッリ監督は現在3バックを採用しており、これは今季優勝したユベントスに近い布陣だ。このように、欧州強豪国の場合、上位クラブの選手が代表に選ばれることが多いこともあって、自国リーグの強豪クラブが採用しているフォーメーションに影響を受ける。セリエAでは、上位のユベントス、ナポリなど、3バックが主流になっている。代表も3バックに、というのは自然な考え方かもしれない。

 一方、日本代表の選手は、所属クラブで3バックを経験している選手はあまりいない。CBの吉田麻也は所属クラブ(サウサンプトン)で4バック。CB今野泰幸もガンバ大阪は4バックで、内田篤人(シャルケ)は4バックの右SB。長友佑都(インテル)は左右どちらのSBもでき、3バックのときはサイドMFもできる今のトレンドに適った選手。遠藤保仁(ガンバ大阪)と長谷部誠(ヴォルフスブルク)も所属クラブは4バックを採用している。ボランチを含めた後ろの6人は、3バックか4バックかによってやることがかなり変わってくる。

 そのことも多少影響しているのか、セリエAのクラブで監督をしているときは「3-4-3」を採用することが多かったザッケローニ監督が、日本代表監督に就任してからは、「3-4-3」を数回試しただけで、現在まで「4-2-3-1」を採用し続けている。

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