躍動するミスター・セレッソ。柿谷曜一朗を代表に呼ぶなら「今」だ

  • 前田敏勝●文 text by Maeda Toshikatsu
  • photo by Takahashi Manabu

得点能力の高い柿谷曜一朗。代表でその雄姿を見てみたい。得点能力の高い柿谷曜一朗。代表でその雄姿を見てみたい。 今季、最も注目を集めている"点取り屋"と言えば、セレッソ大阪の柿谷曜一朗だろう。

 第12節の柏レイソル戦でも、柿谷が全3得点に絡んでチームに勝利をもたらした。前半終了間際、同点弾となるMF山口螢の直接FKは、柿谷の鋭いドリブル突破に相手DFが対応できずに得たものだった。そして後半31分の逆転ゴールは、敵DFラインの裏をついた柿谷が、今季チームのストロングポイントになっているホットライン、MF扇原貴宏からの絶妙なクロスに反応。巧みなトラップから豪快なシュートをゴール右隅に突き刺した。さらに試合終了間際、FW南野拓実のハイプレスをきっかけに、相手GKが飛び出してクリアしたボールを、柿谷がさらって無人のゴールに冷静に流し込んだ。

 Jリーグでは第12節を終えて、得点ランキング2位タイとなる8得点を記録。卓越したボールさばきに磨きがかかり、ゴール前での落ち着きはJ屈指の存在だ。柿谷は、今ちょうどプレイヤーとして成熟のときを迎えている。

 セレッソでは『ジーニアス(天才児)』と称されて、4歳のときから育てられてきた。16歳でプロ契約後、紆余曲折あったものの、8年目を迎えた今季、森島寛晃、香川真司、清武弘嗣と受け継がれてきたクラブのエースナンバーである背番号『8』を託された。その重さを誰よりも知っている柿谷は、シーズン前に「今年がいちばんしんどいシーズンになる」と語っていた。

 しかし柿谷は、チームの「顔」となる重圧をモノともしなかった。逆に、自身の力に変えていった。今季は疲れた顔も見せず、ファンサービスはもちろんのこと、メディアの取材にも真摯に対応してきた。そのうえで、ピッチ上では攻撃の中心として、常に高いパフォーマンスを披露。勝利につながるゴールを重ねてファンを魅了し続けている。

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