日本代表がアウェーで苦戦する理由
「アウェーとはいえ、そんなに簡単に負けはしないだろう」と思う人もいるかもしれないが、その戦いは、想像以上に難しいものだ。実際、W杯最終予選の日本代表は直近のアウェー(ヨルダン戦)で敗戦している。
ヨルダン戦に2-1で敗戦するなど、現在の日本代表もアウェーで苦戦することは多い 日本だけでなく、ブラジル代表のような強豪国であっても、アウェーでは苦戦する。なぜか。まず、環境の変化というのは絶対的に影響がある。ロシアでやるとなったらいきなり寒い場所で試合をやらなくてはいけない。暑いところから寒いところに移動するなど、気温差が激しいと体調管理が難しく、気候への対応は絶対に問題になる。
もうひとつは、時差と移動による疲労。時差調整というのは、なかなかすぐにはできない。「時差ボケ」というと、うまく眠れないだけと思う人がいるかもしれないが、フルパワーで90分戦うことを考えると、時差ボケのままではベストパフォーマンスは出せないものだ。
たとえば、ブラジル代表がアウェーであるボリビアの高地で試合をした時、やはりコンディション調整に苦しみ、負けてしまうことも過去にあった。それぐらい、体を現地の気候に順応させるのは難しい問題で、時差や気温差、気圧差があることで、体に大きな負担がかかることは間違いない。
私自身の経験上、さらに影響があると思うのは、やはりスタジアムの雰囲気だ。アウェーでの相手国サポーターの声援が、選手の心理に与える影響は大きい。ブーイングについては、精神的に少し気になるぐらいで、そこまで大きな問題ではない。それよりも、自分たちが狙いどおりのプレイができていても、それに対しての反応がなく、スタジアムが静まり返っていると、拍子抜けしてリズムがおかしくなる。思い通りの試合運びができていても、気持ちが乗ってこない。それがプレイに影響してくる。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。