【Jリーグ】石川直宏が語る「タフになった」FC東京は
『柏の奇跡』を再現できる (2ページ目)
とはいえ、後半にしっかりと"らしさ"を取り戻してくるところに、今の東京の強さがある。長谷川アーリアジャスールが振り返る。
「前半は選手間の距離が遠く、その分、相手も(自分たちの攻撃を)読みやすかった。でも、後半はスムーズにボールが回せて、自分たちのサッカーができた。相手のほうがチャンスは多かったけど、守備陣ががんばった中で点が取れた。これで雰囲気もよくなるし、大きな1勝だと思います」
なるほど、東京にとっては、単なる1勝以上の重みのある勝利である。
というのも、J1は3月10日に開幕したばかりとはいえ、東京にとってはすでに公式戦3試合目。1週間前にゼロックススーパーカップを戦い、すぐにオーストラリアへ飛んでAFCチャンピオンズリーグ(対ブリスベン)を戦い、その後、この開幕戦に臨んでいたのだ。
選手たちは、「体は結構疲れている」(長谷川)という状態だったにもかかわらず、後半は、むしろ運動量で大宮をねじ伏せた印象すら受ける。厳しい日程の中での3試合を、内容のともなった2勝1敗で乗り切れたことは、今後への大きな自信につながるだろう。
石川直宏は高いレベルでの試合が続くことに、「疲れよりも、ワクワクするような刺激がある」と言い、こう続けた。
「今は自分たちが成長する姿をイメージできるし、この3試合で手応えを感じています」
もちろん、東京が抱える課題は少なくない。前述したような煮え切らない攻撃はもちろんのこと、守備面に目を向けても、今野泰幸が抜けた穴は、どう贔屓(ひいき)目に見ても埋まっているとは言い難い。
それでも、彼らがゼロックススーパーカップの前半や、この日の後半に見せたサッカーは、大きな可能性を感じさせる。テンポのいいパスワークと攻から守への切り替えの速さで、完全に相手を圧倒してしまうなどという芸当は、そうそうできるものではない。
石川は控えめな言葉を選びながら、それでいて確かな自信をにじませて言う。
「J2での戦いは本当に難しくて、勝負強さや駆け引きなど、そこで学んだことは多かった。だからこそ、タフになってJ1に復帰できたと思います。注目してもらえるのはありがたいですけど、(昨年の)柏の優勝がプレッシャーになるようなことはない。自分たちの目指すサッカーをやっていけば、結果はついてくる。そういうスタンスでやりたいです」
どうやら今年もまた、『花の昇格組』が優勝争いに加わる可能性は高そうだ。
2 / 2