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「捕手がいいとチームの戦いは安定する」を体現する男 坂本誠志郎、信頼で勝ち取った現在地

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

ダイヤの原石の記憶〜プロ野球選手のアマチュア時代
第29回 坂本誠志郎(阪神)後編

「学習能力が高い。1つ教えると、それがすぐ2になり、4になり、8になり......倍々に理解が広がっていく。ピッチャーも坂本と組むと持ち味を十分に引き出してもらえるから輝いていく。捕手がいいとチームの戦いは安定しますが、坂本はまさにそう感じさせるキャッチャーでした」

 これは坂本誠志郎が履正社高を卒業したあと、当時監督だった岡田龍生(現・東洋大姫路監督)が言っていた言葉だが、厚い信頼を寄せられていたことがわかる。

履正社から明治大に進み、2015年のドラフトで阪神から2位指名された坂本誠志郎 photo by Sankei Visual履正社から明治大に進み、2015年のドラフトで阪神から2位指名された坂本誠志郎 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【相手のクセを読んで打つタイプ】

 当時の履正社には、坂本と同じく1年秋からレギュラーだった海部大斗、石井元ら注目の野手が揃っていた。海部は走攻守三拍子揃ったヒットメーカーで、石井は4番を担った右のスラッガー。

 一方、坂本は読みを生かした勝負強い打撃が持ち味だったが、打順は2年夏の甲子園では8番、3年春の選抜は6番、3年夏の大阪大会で7番。守備型捕手の印象が強く、いわゆる高校球界のスターや、ドラフト候補筆頭というタイプではなかった。

 のちに振り返って思い出すのは、2年夏の甲子園で3安打を放った天理(奈良)戦について語った場面だ。3安打の内容は、レフトフェンス直撃の二塁打、レフト前ヒット、そして再びレフト前ヒット。印象的だったのは、自然と配球の読みや投手のクセの話になったことだ。

 相手エースとは、前年秋の近畿大会でも対戦しており、クセは頭に入っていたという。取材メモにはこう記されている。

「打席では相手の攻めを読みますし、配球パターンも参考にします。(二塁打の場面は)腰を引き気味に見逃すともう1球インコースに来るというデータがあって、その球をレフトに持っていきました。ベンチにいる時から、相手投手のクセがないか、常に見ています。ボールを握る時の指の開き具合や手首の角度、グラブの使い方、プレートの踏み方など......。そこからある程度球種を予測して、狙い球を絞ります」

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著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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