【日本代表】
ザックジャパンの「3-4-3」の狙いはどこにあるのか (4ページ目)
ただし守備に関して、3-4-3についてはラインの設定や個々のポジションについて、練習でかなり細かく指示していた。「4」の両サイドが下がってきて「5バックになってはいけない」とザッケローニ監督が言っていたとおり、ここのふたりが下がらずに高い位置をとることが、ザックジャパンの3-4-3の守備のポイントといえる。
この場合、前線では数的同数あるいは数的優位になるかわりに、後ろのDFラインでは数的同数、あるいは数的不利になるリスクがある。たしかに守備に人数をかければ、ひとり余らせて守ることはできるが、それではボールのあるサイドに人数をかけて攻め続けることは難しくなるので、そのバランスをどこでとるかがポイントになる。3-4-3では、ポゼッションをして人数をかけて攻撃をすることを大前提に守備を考えているのだと思う。
ただし、システムというのはあくまで机上のものでもあり、基本の布陣はあるが、ゲームの中ではどのシステムでも、ポジションは流動的に変わって、局面ごとに選手の位置も常に同じではない。
たとえば、マンチェスター・ユナイテッドでは、前線のサイドアタッカーのバレンシアやナニが自分のマークする選手についてDFラインまで戻って、6バックになることもある。要するにどんなフォーメーションでも、ザッケローニ監督も言っていたように、「バランスが重要」ということだ。
日本代表の3-4-3については、今うまくいかなくてもチャレンジしていくことが重要だと私は考えている。チームが成長するためにも、オプションを持つこと、カードをたくさん持つことは必要で、バルセロナが試合中、状況に応じて3-4-3と4-3-3を自在に使い分けるように、ザックジャパンも局面によって戦い方を変えられるようになってほしい。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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