【ワールドカップ】スペイン優勝ではっきりした日本が頂点に立つまでのかなり長い道のり (3ページ目)
【日本にとって「強豪」までの長い道のり】
今回のスペイン優勝で、再び他国の「スペイン化」が起こらないとは言えないが、たぶんそうはならないと思う。過去にそれをやって長期的にうまくいった例がないからだ。
日本は個々の資質としてはスペインに近い。しかし、バルセロナに相当する母体がなく、強化方針もそちらに向いていない。個の成長を日本代表の進化に結びつけていて、この場合の個は1対1に強い個を指している。森保一監督の選考基準も「1対1に強い」だった。
スペインのような関係性に強い個は、まず「サッカーとは何か」という全体像の定義がないと育成できない。やるべき全体が決まっているので細部も決まり、「正解」のあるサッカーになるが、そうでない場合の個はフランス的な1対1の強さが基準になる。
現在の日本は「1対1の守備で負けない」が最低限の基準だ。そのうえで何ができるかでチームの幅が決まってくる。W杯で中堅相当の日本が勝ち進むには強豪国との対戦が避けられず、そこで接戦に持ち込める力が必須なのだ。
その点で、今回の日本は今後の基盤を示すことができた。勝てたのはチュニジア戦だけだが、オランダとブラジルを相手に接戦に持ち込めていた。ただ、接戦を制することができるかどうかは運に左右されるところもあり、より確実に勝ち上がるためには自らが強豪そのものになる必要がある。
今大会、日本代表監督および選手たちは目標として「優勝」を掲げていた。強豪を倒しうる力があるのなら、理論的には全部倒せば優勝できる。しかし、それで強豪になれるわけではない。
フランスが初優勝してから真の強豪になるまでに20年を要していて、スペインも強豪にジャンプアップするためのプレースタイル確立に20年かかった。まだノックアウトステージに1回も勝てていない現状からすると、日本が強豪に進化するにはそれ以上の時間がかかりそうだ。
強豪を倒しうるチームから強豪になる条件が揃うまでは、現在の基盤を維持していくことになるだろう。優勝が現実的な目標になるまでには、かなり長い道のりを経なければならないと思われる。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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