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【ワールドカップ】日本代表が確立した「全員サッカー」のカタチ だが強豪になるにはいくつかの弱点がある (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

【強豪国になることへのハードル】

 強豪に勝つチャンスのあるチーム。これが現時点での日本の立場だ。

 今大会で監督、選手は「優勝」を目標として掲げていた。大会に参加する以上、その意気込みでいい。ただ、"強豪に勝てる"のと、"強豪"そのものには大きな差がある。対戦して勝てる可能性があるのだから、強豪でなくてもW杯優勝はできるかもしれないが、常時優勝候補にあげられるチームは格が違うのだ。

 フランスが1998年に初優勝した時、大会組織委員長だったミッシェル・プラティニは「世界大会で優勝するのと、世界一はまた別だ」と言っていた。それから28年を経過した現在、フランスは真の強豪国になっているが、実際にW杯に優勝した国でも、名実ともに世界一と呼ばれるまでにはまたそれなりの時間がかかるのだ。

 例えば、サッカーがその国のナンバーワン人気スポーツでない強豪国はない。不思議なもので人気の低下は実力の低下につながっていて、イタリアはサッカーへの関心が薄まると同時に強豪国ではなくなった。単にチームが強くなるだけでなく、その国の中での地位が高くならないと強豪国の仲間入りはできないのかもしれない。

 日本にリオネル・メッシのような、あるいは野球の大谷翔平のような選手が出現すれば人気は高まるだろう。しかし一方で、そのスーパースターを生かすためにチームの戦い方を変化させなければならない可能性が出てくる。確立した全員守備の日本サッカーを部分的あるいは全面的に壊しながら、新たなスタイルを創り上げていかなくてはならない。

 現在の日本スタイルにはいくつかの弱点がある。

 全員守備、そのための緊密な連係のために消耗が激しく、たいていの試合で終盤に押し込まれる。絶対的なアタッカーがいないので、攻撃の軸が決まらない。

 ただ、スーパースターが出現するまでは、弱点がありながらも強豪に伍していける現在の戦い方を維持していくほかなく、そのスタートラインに立てたことは大きな意味があるのではないか。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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