検索

サッカー日本代表は「史上最強」なのかを検証 初めてのワールドカップで挑んだ3バックと何が違うか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【技術的、戦術的に上達したディフェンダー】

 当時のアルゼンチンは、ワールドクラスの選手を揃えた前線だけでなく、DFにはロベルト・アジャラ、ハビエル・サネッティ、MFにはファン・セバスティアン・ベロン、ディエゴ・シメオネなどを擁し、とにかく戦い慣れていた。スコア上は接戦だったが、力量には果てしない差があった。彼らは単純にキック&コントロールの技術で優れていたし、勝負どころもわかっていた。

 日本の選手でアルゼンチンに対抗できたのは、中田英寿だけだった。中田だけは激しく寄せられてもボールを収め、思考を実行に移して時間を作ることができたし、受け手がアドバンテージを得る形でパスを出せた。あるいは自ら切り込んで、ゴールに迫ることもできていたが......。

 森保ジャパンの選手たちは、初めてのワールドカップを戦った選手たちとは違う。マンマークとゾーンのバランス感覚もあるし、ボールをつなぐ技術も持っており、欧州で戦いの術も身につけた。「史上最強軍団」と言われる。

 3バックだけを当時と比較しても、たとえば鈴木淳之介はチャンピオンズリーグの舞台にも立つなど、ここ1年で最も頭角を現したディフェンダーと言える。

 鈴木は昨年10月のブラジル戦で左センターバックに入り、堂々と渡り合っている。鋭い出足でボールを奪い取るたび、歓声が上がった。プレッシャーのなか、味方にボールをつける技術もしっかりしていた。また、今年3月のスコットランド戦では、後半、右からのパス交換が左の三笘薫に渡った瞬間、鈴木が一気に内側を駆け上がってパスを受け、左足で折り返したこぼれ球を伊東純也が叩き込んで決勝点が生まれた。

 他にも、谷口彰悟、板倉滉、渡辺剛、冨安健洋、伊藤洋輝、瀬古歩夢などは欧州の有力クラブで経験を重ねており、ユーティリティな力を示している。端的に言って、いずれも"サッカーがうまい"。技術的、戦術的に上達しており、時代が大きく変わった証左だ。

 ただし、28年前のアルゼンチン戦で日本人選手たちが殺気立って挑んだ「1試合を戦いきる」という初心も忘れるべきではないだろう。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

3 / 3

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る