サッカー日本代表は「史上最強」なのかを検証 初めてのワールドカップで挑んだ3バックと何が違うか (2ページ目)
【薄かったスペースを守る感覚】
その点で、当時の3バックもしくは5バックの最終ラインの選手たちには、必死さと強固さがあった。責任の所在がはっきりとしていたこともあるだろうが、やるべきことが単純化されていたことによって、最大限の力をぶつけられていた。要所で体を張る姿勢も模範的だった。現代でも、見習うべきところがある。
もっとも、それはベストな戦いをしたというわけでもない。
フランスワールドカップの日本は、マンマークがある程度は功を奏していた。しかしながら、守備陣は相手のひらめきのあるプレーに対しては、致命的な後れを取るところがあった。象徴的だったのは、決勝点を叩き込まれたシーンだ。
日本は失点に至る数分前から、相手の動きに応じて人が引き出されることで、MFとバックラインの間のスペースが空くようになっていた。そこにボールを通され、アタッカーが前を向いた場合、すでに失点したに等しい。激しい動きのなか、ずれが起きるのは必定だった。結果、そこに入ったボールへの対応を誤り(名波浩の足に当たったボールがバティストゥータにつながった)、一瞬の隙を突かれることになった。
人を厳しくマークするだけでなく、スペースを同時に守る感覚も必要だったのである。
そして、初めてのワールドカップを戦った日本の選手たちは、マンマークで相手に動かされる時間が長すぎた。中西、井原、秋田の3人は効果的なビルドアップをすることができなかった。守ってもクリアで蹴り出すことが多く、常に攻撃に晒されていた。消耗戦には持ち込むことができたが、遅かれ早かれ、失点を覚悟する戦いだったのである。
これは3バックだけの問題ではない。
日本は全員が粘り強く戦って、アルゼンチンに好きなようにさせなかったが、自分たちがボールを持って、主体的にプレーする時間が極端に少なかった。相手を嫌がらせるだけでは、失点する可能性は低くなっても、得点する可能性は高くならなかったのである。言い換えれば、善戦するのが精一杯だった。
2 / 3


