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【サッカー事件簿】ドイツワールドカップ、中田英寿がブラジル戦の前日に行なったシュート練習 「1本、1本に魂がこもっていた」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Shun Sato

 その夜、川口はなかなか寝つけなかった。

 なぜ、あそこで適切な判断を下すことができなかったのか。あのワンプレーさえなければ、日本は勝てたかもしれない......。さまざまな思いが駆け巡り、自らを追い込むほど反省したが、心が晴れることはなかった。

 クロアチア戦に向けて始動した日本。グループリーグ突破のためには、勝利が必須だった。指揮官のジーコは、それまで継続してきた3バックをやめて4バックにシステムを変更。中盤の2列目に小笠原満男を配した。

 川口はそこに、ジーコの勝利への執念を感じた。

「ジーコは初戦を落として衝撃を受けていたけど、動揺はしていなかったです。それまで結果を出してきた3バックをやめて4バックにしたことから、勝たないといけない状況に追い込まれたので、『攻撃的にいく』というジーコの覚悟と、何が何でも勝つという強い気持ちを感じました。自分も、もう1回起用してもらえるなら、チームを助けたいという思いがすごく強かったです」

 迎えたクロアチア戦、互いに慎重な姿勢を見せていた。淡々とゲームが進むなか、前半20分、宮本恒靖がFWダド・プルショを倒してPKを与えてしまった。イエローカードをもらった宮本は通算2枚目となり、ブラジル戦の出場停止が確定した。

 PKのキッカーは、MFダリヨ・スルナだった。

「ここは絶対に止めなきゃいけないと思いました。オーストラリア戦は、自分のせいで負けてしまった。ここで決められてしまったら、ドイツワールドカップは自分のせいでグループリーグ敗退が決まってしまう。

 スルナはPKがうまい選手だというのはわかっていました。(クロアチアのスカウティング)映像を見たとき、速いシュートを打っていたんです。(PKを止めるのは)難しいけど、初戦のミスを取り返さないといけない。このときは、すごく集中していました」

 川口はスルナが蹴るコースを読んで、見事に止めた。

 そのプレーはチームに勢いをつけたが、日本の攻撃は決め手を欠いた。再三のチャンスを生かすことができず、試合は0-0のドローに終わった。

 2試合を終えて勝ち点1、得失点差マイナス2の日本はグループ最下位。決勝トーナメント進出の可能性はわずかに残されていたが、そのためにはグループリーグ最終戦のブラジル戦で2点差以上をつけて勝つ必要があった。

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