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U-20ワールドカップで日本はフランスを圧倒したが、「勝たなきゃいけない」試合を落とした (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 グループリーグでの戦いを振り返れば、日本は少ないチャンスを確実にものにして、3つの勝利を重ねてきた。しかしながら、この試合ではグループリーグから一転、次々とチャンスは作れるのに、なかなかゴールが決まらない。

 結果論を承知で言えば、3連勝したグループリーグの戦いからは、明らかに潮目が変わっていた。大関が続ける。

「今まで(の試合で)は少ないチャンスをものにしてきたので、逆にチャンスが多いなかで入らないと、やっぱり今までと違うというか、少しネガティブな感情がピッチのなかに流れていた。そこは自分たちの力不足だと思う」

 後半に入っても、日本ペースは変わらなかったが、同様にシュートが一向に決まらない展開もまた変わらなかった。

 結局、両チームが攻め合うもノーゴールのまま延長戦に突入した試合は、それでも得点が生まれない。延長戦の試合時間も残り5分を切り、いよいよ勝負はPK戦決着かと思われた、そのときだった。

 延長後半の119分、右サイドからのクロスをゴール左で拾ったフランスのFWルーカス・ミハルが、再びゴール前に送ろうとしたパスは、日本の右サイドバック梅木怜(FC今治)の左手に当たり、コースが変わった。

 主審の判定はノーファール。そのままプレーは流れたが、すぐさまフランスがビデオサポートリクエスト(今大会はVARが採用されておらず、判定に疑問があった場合、チームが主審にビデオ確認をリクエストできる)。

 はたして、主審がオンフィールドレビューを行なった結果、ハンドの反則が認められ、フランスにPKが与えられたのである。日本はPK戦に備え、すでに交代出場の準備をしていたPKストッパー、GK荒木琉偉(ガンバ大阪)をピッチに送り出すも、ミハルに落ちついて決められ、万事休した。

 率直に言って、フランスは決して怖い相手ではなかった。

 ワールドカップ優勝2回の実績を誇る世界屈指の強豪国の看板に照らせば、拍子抜けと言ってもいいくらい。組織力においても、個人能力においても、日本はまったく見劣ってはいなかった。

 とはいえ、本当の世界レベルがこんなものではないことも確かである。

 かつてU-20ワールドカップと言えば、20歳以下の世界の精鋭が集うビッグイベントであり、のちに各国のA代表で活躍するスター選手が数多く顔をそろえる大会だった。ところが、最近はヨーロッパのクラブの青田買いが進み、南米やアフリカの選手も若くして海を渡るケースが多くなった。

 その結果、所属クラブの協力が得られず、この大会に出場できない選手が増加。今大会のフランスにしても、現時点での20歳以下のベストメンバーがそろっているとは言い難い。

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