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サッカー日本代表に鹿島から招集されない理由を考える 選考は「選手ありき」であるべき (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【鈴木優磨と長友佑都】

 監督が選んだシステム、戦術に選手を当てはめるところから亀裂が生まれている。

 今シーズン、鹿島アントラーズは首位に立っているにもかかわらず、ひとりも代表に招集されていない。理由は4バックで戦い方が違う。それに尽きるだろう。

 実力や活躍を評価したら、鈴木優磨は代表に選出されるべきだろう。鈴木は、目を背けたくなるような小競り合いもする。尖がった選手だし、集団の中で"毒"にもなる。しかし、気概のあるストライカーで健闘精神も強い。何より技術的に高く、ポストワークは洗練されているし、得点のスポットに入る集中力も、高さやタフネスも感じさせる。監督次第で、有力なカードになるはずだ。

 無頼の強さを生み出すには、鈴木の刺激を受け入れるくらいの器の大きさが必要ではないか。

 一方、FC東京で主力でもない長友佑都を相変わらず選出している。その理由は「人間性や経験」だという。たしかに長友はチームへの忠誠心が強いし、ピッチに立つだけで戦う姿勢が伝わる。しかし走力は落ちたし、技術的にも世界レベルからは劣る。チームメイトは「空気を明るくしている」と歓迎ムードだが、選手に聞いて悪いことを言うはずがない。

「ワールドカップ優勝には欠かせない」という意見は、冗談にしか聞こえないだろう。ワールドカップ優勝を本気で狙うスペイン、フランス、アルゼンチン、ブラジルなどが、そんなモチベーターを必要しているか? 彼らは常に選手を入れ替え、競争力を高め、実力のある選手が自然とリーダーとしてチームを引っ張っている。

 一方で、「若い選手のほうが従順で扱いやすい」――そんなことが、今回の選考では透けて見える。率直に言って、どの選手も「日本代表の新星」と言えるほどの活躍をしているわけではない。今回、代表から外れた三笘薫、守田英正、堂安律、板倉滉、上田綺世などヨーロッパで場数を踏んでいる主力選手たちを、彼らがこれから1年で追い抜けるのか。それは残念ながらイメージできない。

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