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サッカー日本代表はサウジアラビア戦で同じ過ち 昨年10月のオーストラリア戦と酷似 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【昨年10月のオーストラリア戦と酷似】

 その試合のオーストラリア同様、今回のサウジアラビアの布陣も3-4-2-1だったが、実質的には両WBに本職がSBの2番と13番を配置する5-4-1。ほとんどの時間帯で自陣に引いて守ったという点でも同じだった。

 しかも、オーストラリアは試合序盤に前からプレスを仕掛けるシーンがあったのに対し、この日のサウジアラビアは前からボールを奪おうとする素振りもなく、自陣でボールを奪ったらロングキックで逃げ、ミドルゾーンで奪っても単独のドリブルで前進するのみ。3バックの両脇を突いた効果的なカウンター攻撃を見せることもなく、ミドルゾーンと自陣深くのエリアでコンパクトな5-4-1の陣形を維持して守るだけだった。

 こうなると、当然ながら日本は容易に前進し、敵陣でボールを保持することができる。しかし、オーストラリア戦と同じように、一定のレベルの相手に引いて守られるとなかなかゴールチャンスを作れないという展開が、この試合でも再現された。

 そのなかで、開始直後はボランチの田中碧と左シャドーの鎌田大地が頻繁にポジションを変えて、相手の5-4のブロック間を出入りしたことが奏功し、2度チャンスを作った。ひとつ目は9分。高井幸大のくさびのパスをライン間で田中が受けて反転し、素早く縦パス。DFラインの背後を狙った前田大然がエリア内で決定機を迎えたが、惜しくもシュートはポストを叩いた。

 もうひとつは10分。左サイドで鎌田がスルーパスを配球し、中村敬斗が左から絶好のタイミングでクロスを入れたが、ニアに入った前田がシュートできず。前田は前半19分に得意の単独プレスからボールを奪ってGKと1対1になるシーンを作ったが、そのシーンでは自らボールコントロールを乱してしまい、好機を逸している。ゴールレスの引き金となったという点で、3つのチャンスを逃したことは痛恨だったと言える。

 ただ、問題は前半10分のシーンをきっかけに、サウジアラビアの3バックが守備対応を修正し、それを機に日本の崩しが影を潜めてしまったことだろう。

 特に3バック右に位置した5番が、鎌田がDFラインの前に入ってきた場合は前に出てタイトにマークし、前田のマークを中央の4番に任せるようになると、サウジアラビアの5-4のブロックはより強固になり、日本の攻撃は早い段階から行き詰まることになった。

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