サッカー日本代表はサウジアラビア戦で同じ過ち 昨年10月のオーストラリア戦と酷似 (3ページ目)
【同じ過ちを繰り返した】
試合の構図が酷似していたので、スタッツもオーストラリア戦に近い。まず、オーストラリア戦でシュート12本だった日本は、この試合でも12本。相手はともに1本と、シュート数ではまったく同じ数字だ(日本の枠内シュートはオーストラリア戦が3本でサウジアラビア戦が2本)。前述したアクションエリアの31.9%というスタッツも、オーストラリア戦の31.1%とほぼ同じだった。
サウジアラビアがより守備的だったことも影響し、日本のパス本数はオーストラリア戦の598本からこの試合では715本に増加し、パス成功率も83.9%から90.1%にアップ。敵陣でのパス成功率も、オーストラリア戦の73.8%から今回は84.5%に上がっている。
一方、敵陣での縦パス本数はオーストラリア戦が4本(前半4本)で、今回は5本(前半4本)。左右からのクロス本数はオーストラリア戦の18本(前半8本)に対し、今回のサウジアラビア戦は13本(前半5本)だった。そのうち成功したクロスはオーストラリア戦が2本で、今回は1本と、いずれも似た記録になっている。
では、オーストラリア戦とほとんど同じ内容で終えた今回の試合を、どのように受け止めるべきか。今後の成長を求めるなら、やはり同じ過ちを繰り返したと反省すべきだろう。
もちろん、日本に工夫が見られなかったわけではない。たとえば後半の日本は、相手の5-4のブロックの「4」の両脇のスペースを活用すべく、特に左センターバック(CB)の伊藤洋輝が前に出て最終ラインが2枚(高井、板倉滉)になるシーンが増加。相手の1トップに対して日本がふたりで対応するという論理的な立ち位置をとった。
しかし、前に出た伊藤のポジショニングが左ハーフレーン内だったため、攻撃面で大きな変化を生み出せなかった。伊藤がパスを受けるとすぐに9番(後半61分からは19番)が接近し、伊藤が左大外の中村にパスしても、その時は中村が2番(後半は12番)に寄せられた状態でマッチアップ。結局、相手のマークのズレとギャップを作れなかった。
もし伊藤があまり前に出ず、横に動いて左大外レーンでパスを受けてからボールを持ち運べば、9番(または19番)の移動距離が長くなり、中央にスペースを作れたかもしれない。中村と縦関係で数的優位を作って2番(または12番)を剥がす可能性も生まれる。
あるいは、伊藤が大外でボールを受けた時に中村が左ハーフレーンに移動。2番(または12番)がついてくるなら、中村が空けたポジションにシャドーの鎌田が移動し、3人がローテーションする形で相手のマークにズレを生じさせることも可能になる。相手を動かせばズレやギャップが生まれやすく、そこに突破口が見出せるかもしれない。
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