サッカー日本代表の構造的問題 ひたすら守るサウジアラビアに拙攻の山を築いた理由 (2ページ目)
【サイド攻撃が機能しない理由】
これに迫る決定機はなかった。対して惜しいシーンは2回あった。ひとつは前半19分、前田がプレッシングから相手ボールを奪い、ゴールに迫ろうとしたプレーである。だが次のタッチを誤り、弱々しいシュートになった。ふたつ目は後半37分。鎌田の縦パスを受けた伊東純也が左足で放ったシュートである。枠内に向かったものの相手GKにフィスティングで防がれたプレーである。久保建英が1本ミドルシュートを放ちスタンドを沸かせたが、言うならばそれはあまり惜しくないチャンス、となる。
チャンスシーンはこの程度だった。森保監督の評価は甘い。77.6%支配しながら、拙攻の山を築いたと言うべきではないか。
その原因は何か。引いて構える相手にはサイドを突け。この鉄則がまったく徹底されていなかったことに尽きる。試合後の会見では、森保監督もこの点について触れていた。鉄則について理解しているようだった。では具体的にどんな指示を送ったのか。ピッチを俯瞰する限り、その中身はまったく見えなかった。指示が出ていたのにあの程度だとしたら、指示の中身に疑念が湧く。
ウイングバックの2人、中村と菅原はタイプが違う。4バック時では中村は典型的なウイングで、菅原はSBだ。その両者を同じ高さで起用しているわけだ。
まず右。菅原が縦を走り、それなりに有効性の高いクロスボールを蹴り込んだシーンは1度。ドリブル&フェイントに特段の武器は持ち合わせていないので、他は自重した。右サイドをカバーすることに終始した。
サイド攻撃を活性化しようと思えば、2シャドーの右寄りに配置された久保建英とのコンビネーションプレーが不可欠になる。久保は所属のレアル・ソシエダではご承知の通り典型的な右ウイングとしてプレーする。右ウイングプレーのスペシャリストである。だが、森保監督は久保をサイドで起用しない。4バック時でも1トップ下、あるいはインサイドハーフに置く。レアル・ソシエダの久保は、森保ジャパンでは見られないものとなっている。理由は不明だ。
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