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サッカー日本代表はワールドカップにどう臨むつもりか 久保建英に救われたバーレーン戦 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 バルサは1990年代、肝心なところでミランを軸とするイタリア勢に敗れたものだ。試合を押して進めながら、守備的な相手に急所を一撃され、惜しい試合を幾度となく落としてきた。

 スペイン代表しかり。イタリア代表に対して分が悪い状態が続いた。するとスペイン国内に論争が湧いた。イタリアのように守備的にいくべきでないか。そうしないと永遠に勝てないのではないか。意見は二分された。そこで登場したのが、時のバルサ監督ヨハン・クライフで、敗れてもいいから攻撃的サッカーを貫くべきだと主張。以来、スペインはそのスタイルを貫いている。

 欧州全体の流れも、1997-98年シーズンのCL決勝でレアル・マドリードがユベントスを倒した一戦を機にガラリと変わった。つまりこの一戦は、イタリアとの天下分け目の一戦をスペインが制した試合として記憶される。イタリアの守備的なサッカーはその後、退潮して現在に至っている。

 最近で言えば、ジョゼップ・グアルディオラ対ジョゼ・モウリーニョの戦いがそうだった。守備的サッカーのモウリーニョが欧州の檜舞台から去ることになるのは、歴史的に見て当然の帰結と言えた。久保のコメントはスペイン育ちらしからぬ考察と言いたくなる。

 とはいえ、この試合を救ったのが久保であることは紛れもない事実だ。三笘薫を筆頭に失敗を恐れているような選手が目立つなか、久保は奮闘。1ゴール1アシストという記録に残るプレーのみならず、随所に失敗を恐れぬ積極的なプレーを発揮。違いを見せつけた。

 やはり最大の問題は監督だ。レベルがまるで異なるW杯本大会にどんなサッカーで臨むつもりなのか。これから1年3カ月をどのように過ごすつもりなのか。FIFAランクを上げることを優先しテストを怠れるのは本末転倒。単なる点取り虫と化す。なにより監督が選手とともに欧州に渡り、世界観を養う必要があると、あらためて言いたくなる。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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