サッカー日本代表の4バックを見たい! 識者が展望するバーレーン戦&サウジアラビア戦のメンバー (3ページ目)
【従来のメンバーに固執すれば下り坂に入る】
杉山茂樹(スポーツライター)
この記事に関連する写真を見るFW/前田大然(ジャーメイン良)
MF/中村敬斗(濱﨑健斗)、鈴木優磨、坂元達裕
MF/佐野海舟(旗手怜央)、藤田譲瑠チマ(田中碧)
DF/伊藤洋輝、板倉滉、高井幸大、毎熊晟矢(菅原由勢)
GK/小久保玲央ブライアン
布陣は願望を込めて4-2-3-1を選択。日本絶対優勢の状況を踏まえ、従来のスタメンは不必要に招集せず、テスト重視で臨みたい。
1トップは前田大然。先のチャンピオンズリーグプレーオフ対バイエルン戦で威力を発揮した「最前線のディフェンダー役」として起用する。前田の交代要員はジャーメイン良。いまひとつ弱々しい感じがする上田綺世、小川航基、古橋亨梧に代わる選手を探したい。
1トップ下には、一度は試されなければならない実力派のJリーガー鈴木優磨を置く。そのボールを収める力は前田との関係で発揮される。
左ウイングはウインガーとしては三笘薫より旬に見える中村敬斗。交代選手には、神戸の17歳、濱崎健斗を用意する。右はイングランド2部コベントリーで好調を維持する坂元達裕。久保建英らは休ませる。
守備的MFは佐野海舟と藤田譲瑠チマのふたり。遠藤航、守田英正の中心選手は休ませる。イングランド2部ですっかり実力派に成長した田中碧は、今回は交代要員とする。
右サイドバック(SB)は推進力の菅原由勢か、運搬力の毎熊晟矢かの2択だが、筆者の好みではわずかに後者が上回る。左SBはケガから回復した伊藤洋輝。チャンピオンズリーガーとしての貫禄を見せつけてほしい。センターバックは順当ならば板倉滉。もうひとりは高井幸大を試したい。GKも小久保玲央ブライアンを試したい。
従来のメンバーに固執すれば下り坂に入る。W杯本大会を1年3カ月後に控えたいま、日本代表にほしいのは勢いで、その源となる競争意識だ。このままでは岡田ジャパン(第2期)、ザックジャパンの二の舞を演じることになると見る。第4コーナーを回った段で失速する。
いまこそ新たな選手を登用する必要性を感じる。それは本大会出場を確実に決めてから、などと石橋を叩いて渡るような慎重すぎる態度を取っていると、勢いは生まれない。
このメンバーでも監督采配がしっかりしていれば十分勝てる。同時によいサッカーも期待できる。そうした意味でも守備的な3バックはやめてほしい。新たな発見がいくつあるか。バーレーン戦、サウジアラビア戦に求められる成果はこれに尽きる。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
【画像】あと1年! 識者が予想する2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバー
3 / 3