ブラジルW杯で青山敏弘が長谷部誠に指摘された「もっと落ち着いてプレーできるだろ」の意味 (3ページ目)
【意外だったザックのスタメン起用】
2011年のアジアカップを制したザッケローニ監督率いる日本代表は、すでに早い段階でチームの骨格が固まっていた。直前での招集となった青山をはじめとする東アジアカップ組は、既存のチームに新たな武器をもたらすことが求められていた。
「僕らはプラスアルファをどう作れるかってことを試されていたし、期待されていたんじゃないかな。当然、同じことはできないし、経験値も足りないなかで、それ以外のところをザックさんは認めてくれていたと思います。そんななかで同じ東アジア組の(山口)蛍がポジションをつかんだのもあって、俺らでもやれるという手応えはあったんですけどね」
もっとも夢の舞台は、青山にとって厳しいものとなった。2戦目まで使われず、3戦目のコロンビア戦にスタメン出場したものの、ハメス・ロドリゲスのプレーに翻弄され、62分にピッチをあとにした。
1分1敗と追い込まれた状況下でのスタメン起用は、意外だったという。それでも、求められている縦パスを発揮しようと考えていた。
「ザックさんのサッカーって、ボランチが1枚落ちて、サイドを高めに上げて、そこのコンビネーションで崩していくやり方だったんだけど、あの時は落ちずに、前に行こうと考えていました。下がりたくなかったんですよね。ゲームを作るっていうよりも、前との距離感を近くして、早いテンポでボールを動かしたかったんです。それでいける感じがあったんですよね」
ところが試合中に、同じボランチの長谷部誠から「アオだったら、もっと落ち着いてプレーできるだろ」と指摘を受けてしまう。
「自分はそういう役割だと思っていたから。たしかにもっと落ち着いてやればよかったかなって、試合が終わってから思ったけど、そういう意味ではやっぱり、経験が足りなかったのかなって」
初めてのワールドカップで世界基準を知り、屈辱と悔しさを味わったが、同時に充実感もあったという。
「もちろん、勝てなかったから悔しかったけど、ワールドカップはやっぱり、すごく楽しかった。このためにサッカーをやってきたんだなって。でも、そう言っているようじゃダメなんですよ。このレベルでサッカーをやるのが当たり前っていうくらいじゃないと、あの舞台では勝つことができない。それを知ることができたのは、よかったと思っています」
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