サッカー日本代表ワールドカップ本番で選手、戦術に変化はある? 識者が予想した1年半後の顔ぶれ (3ページ目)
【本大会での勢いはメンバーを変えることで生まれる】
杉山茂樹(スポーツライター)
この記事に関連する写真を見る<2026年の日本代表予想>
FW/三笘薫、ジャーメイン良(塩貝健人)、久保建英(坂元達裕)
MF/藤田譲瑠チマ、田中碧
MF/佐野海舟
DF/冨安健洋、板倉滉(町田浩樹)、高井幸大(チェイス・アンリ)、毎熊晟矢
GK/鈴木彩艶
W杯本大会でベスト8以上を狙おうとした時、不可欠になるのが勢いだ。アジア3次予選を戦う現在のチームは確かに強い。強そうに見える。史上最強に違いない、だがそれはあくまで過去との比較だ。過去7回を超える成績を収めようとした時、史上最強は当たり前すぎて売り文句にならない。
問題は史上最強の度合いだ。1年半後、さらに強くなっている必要がある。つまりメンバーは変わっていなければならない。勢いはメンバーを変えることによって生まれる、との前提に立って考えてみた。
一番の人材難はセンターフォワードだ。小川航基、上田綺世、古橋亨梧、大橋祐紀と揃っているが、いずれも帯に短し、襷に長しだ。ピンとこない。むしろ以下のふたりに食指は動く。
まずは今季Jリーグで19ゴールを奪い、スケールアップした感のあるジャーメイン良。左利きで、ボールが持てる。頭も強い。面白い存在だと思う。もうひとりは小川と同じNECナイメヘンに所属する19歳の塩貝健人だ。現在チームでは小川のサブ的な立ち位置だが、近い将来、逆転しそうなムードを感じる。そうなってから選ぶのでは遅い。
1年半後を想像し、気配を感じた段で呼ぶ。いま選んでもいいぐらいだ。ともかくストライカーはその時、旬な選手、野球的に言うなら当たっている選手を選ぶべき。選手としての格で上回る、いわゆる外せない選手が日本にはいないので、思いきった手は打ちやすいはずだ。
だが、最大の改造ポイントは中盤にある。遠藤航、守田英正。現在のチームはこのふたりを中心に成立しているが、勢いをつけるならこの心臓部に敢えて新風を送り込むことだ。そのくらいの覚悟が必要だと考える。守田と競わせるべきは藤田譲瑠チマで、遠藤と競わせるべきは佐野海舟だ。後者の選出には否定的な見方もあるだろうが、筆者的にはゴーサインを出したい。
両ウイングは三笘薫と久保建英。だが、フェイントのキレに関しては坂元達裕のほうが久保より上だ。ゴールへのルートが見えているMF的な視野もある。十分に使える選手だと踏む。
全体の枠は26人なので、ウイングにも最低5人程度を割く余裕がある。問題は、森保一監督がウイングつきの布陣(4-3-3、4-2-3-1など)を採用するかだ。日本のストロングポイントを最大限活かそうとしないサッカーには、賛同できかねる。
冨安健洋は故障が心配されるが、使うなら4バックのサイドバック、特に左で使いたい。サイドバックに世界的な選手がいるチームは強い。強さの象徴だとみる。5バックになりやすい3バック=後ろで守る非王道を行くサッカーには、一発は期待できても安定感は望めない。
ウイング、そしてサイドバックの活躍なしに、ベスト8以上は望めないのである。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
【画像】元サッカー日本代表・Jリーガーが選んだ、スゴイ選手ランキング
3 / 3