サッカー日本代表 中国相手にあの失点は大問題 攻撃的3バックシステムの破綻を示している? (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【日本は中央からもサイドからも攻撃できず】

 日本は、これにより最終ライン3人からの縦パスルートがほぼ消されてしまい、1トップの小川航基が前線で埋没。中国のインサイドハーフ2人にマークされた日本の2シャドーでは、右の久保建英は下がってもらうなどして攻撃の起点となれたが、前に残ってフィニッシュ役も担う左の南野拓実は、ほとんどボールを受けられない状態が続いた。

 まさに中国の狙いどおりの構図となったわけだが、それを示すかのように前半の日本は、敵陣でのくさびの縦パスを1本も打ち込むことができずに終わっている(後半も1本のみ)。ちなみに、この試合の日本で最も多くのパスを出したのは板倉だったが、小川と南野へのパスはゼロ。久保につけたパスも3本しかなかった。

 こうなると日本が活路を見出すべきは、サイド攻撃となるが、しかしそれを阻んでいたのが、横幅が狭くなった変則ピッチだった。

 とりわけ大外右サイドが持ち場の伊東純也は、前半は素早く寄せてくる左インサイドハーフの20番(シエ・ウェンノン)と左サイドバックの13番(フー・フェアタオ)のプレッシャーを浴びるなか、ボールコントロールが乱れるなど、いつもどおりのプレーができず。

 ボール支配率が高い試合では二桁近いクロスを供給することもある伊東だが、68.9%の支配率を記録したこの試合の前半のクロスは、2本だけ。チーム全体としても、サイドからのクロスは3本しか供給できなかった(1試合トータルでも9本)。

 ただし、流れのなかからはチャンスは作れなかったが、前半終了間際にコーナーキックから2ゴールを決めたのは、W杯本番を見据えたうえでも大きかった。これまでセットプレーからゴールが奪えないことをたびたび指摘されてきた日本だが、ここにきて、これまでの切磋琢磨が結実している点は、この試合で手にした数少ない収穫と言える。

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