サッカー日本代表 中国相手にあの失点は大問題 攻撃的3バックシステムの破綻を示している? (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【中国の戦術的狙い】

 さらに、この噛み合わせで最も大きなポイントになるのが、中国の中盤3枚の両脇に大きなスペースが生まれる点だ。

 日本から見れば、そこを突くことで容易に敵陣まで前進可能になる。両WBが横幅をしっかり取って素早くサイドチェンジできれば、中国の中盤3人のスライドが間に合わないため、サイド攻撃が機能する。サイド攻撃によって中国の中盤を広げられれば、自然と中央ルートも開通。それが、日本の狙い目だ。

 ところが中国は、その戦術的デメリットを想定し、ルールの範囲内でピッチの両幅が短くなるようにタッチラインを設定していた。その対策からは、守備時に中盤3枚がスライドする距離を短くすることで、日本のサイド攻撃を封じたいという狙いが見て取れた。

 攻撃については、1トップだったインドネシアとは狙いが異なるものの、中国もロングボールを中心に攻撃を組み立てた。また、ロングボールを使わない場合も縦に速く攻めることで、人の少ないサイドを捨てて、人数的に優位性のある中央に活路を見出そうとするなど、とにかく戦術的な狙いは攻守ともに徹底されていた。

 前半の日本は、最終ラインでボールを保持しながら前進はできたものの、敵陣に入ってからの攻撃が停滞してしまい、決定機はおろか、シュートチャンスさえ作れない状態が続いた。最初のシュートは、中村敬斗が放った前半25分。もちろん、今回の最終予選で最も時間がかかったファーストシュートだ。

 中国は、積極的に前からプレスをかけなかったが、ミドルゾーンでは2トップが右センターバック(CB)瀬古歩夢と左CB町田浩樹をケアし、2トップ下の19番(カオ・ヨンジン)がダブルボランチの遠藤航と田中碧の間に立つことで、DFライン中央で完全にフリーになっていた板倉滉がボールホルダーになっても、日本の前進をスローダウンさせることができていた。

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