斉藤光毅が見据える2026年ワールドカップ「危機感も芽生えます。活躍しなきゃ、点を取らなきゃ...」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【平河悠や三戸舜介とロンドンで再会】

 食事は調理師や栄養士のサポートを得て、用意してもらっている。オランダでもそうやってコントロールしてきた。

「チームでも食事は出るので、そこは全然問題ないですね」

 コミュニケーションはどうだろう。斉藤は少し困ったように笑う。

「英語は問題ありです。何となくは理解できるんですけど、話すほうはまだまだで」

 ベルギーでもオランダでも、通訳はいなかった。QPRでもひとりである。「しんどいですけど、もう慣れました」と、さきほどよりも明るく笑う。シフエンテス監督からは戦術的な指示が多くあり、ミーティングも毎日行なわれる。それでも、コミュニケーションが大きなストレスになっている、ということはないようだ。

 QPRと同じくロンドンに本拠地を置くクラブは多い。クリスタル・パレスはそのひとつで、鎌田大地とも会ったという。

 9月の代表ウィークでは、パリオリンピック代表のチームメイトとオフを過ごした。ブリストル・シティ所属の平河悠、スパルタ・ロッテルダムでも同僚だった三戸舜介と、ロンドンで再会を果たしたのだった。

「ふだんは観光とかしないんですけど、3人でビッグベンへ行きました。時間がある時にそうやって会えるのは、リフレッシュにもなるし、話をしていて刺激にもなります」

 自らを奮い立たせてくれるトピックは尽きない。古巣の横浜FCの動向も、そのひとつだろう。J2リーグからの復帰を決めたのだ。

「ずっとお世話になったクラブなので、結果は気にしていました。自分がステップアップすることは恩返しにもなるので、自分もがんばらなきゃって思います」

 イングランド2部で地力を蓄えながら、最高峰の舞台を見据える。2026年の北中米ワールドカップも、はっきりと視野にとらえている。

「上へ行きたいっていう気持ちは、本当に常にあります。そのためには今、結果を残さなきゃいけないし、結果を残して代表に選ばれないとワールドカップには出られない。

 上を目指してやっていくなかで、QPRにホントにフィットして、自分のプレーを出す。それが、今の自分が求めるもの。目標を見ながら、今のプレーに集中していきます」

 自分に厳しく、けれど、悲壮感はなく。一瞬の輝きを放つために、準備は絶え間なく。真っ直ぐでしなやかな向上心が、斉藤を衝き動かしている。

<了>


【profile】
斉藤光毅(さいとう・こうき)
2001年8月10日生まれ、神奈川県出身。横浜FCの下部組織で育ち、高校2年の2018年7月にクラブ史上最年少でJリーグデビューを果たす。2021年にベルギーのロンメルSKに完全移籍し、2022年にレンタル移籍でオランダのスパルタ・ロッテルダム、2024年からはイングランド2部チャンピオンシップのクイーンズ・パーク・レンジャーズでプレーしている。代表歴はU-16から各アンダーカテゴリーで活躍し、U-17ワールドカップやU-20ワールドカップのメンバーにも選ばれている。ポジション=FW。身長170cm、体重61kg。

著者プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

【写真】斉藤光毅のライバルは誰? サッカー日本代表・アジア最終予選のベスト布陣

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