斉藤光毅が語るパリ五輪と新天地イングランド「現状をどう打開するか、全力でもがいている」
斉藤光毅インタビュー(前編)
この23歳は、観る者の期待を決して裏切らない。
パスを受ける。斉藤光毅のひとつ目の選択肢は"突破"だ。観衆が「仕掛けてほしい」と思う場面では、得意のドリブル突破で敵陣へ切り込んでいく。
今夏のパリオリンピックでは、背番号10を背負った。大岩剛監督がターンオーバーを採用するなかで、チームの全4試合のうち3試合にスタメン出場した。
今季からイングランド2部のQPRでプレーする斉藤光毅 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る「シンプルにいい経験になりました。タフなゲームの連続のなかで、全員が本気で勝利を目指して、本当に活躍したいっていう気持ちがピッチに立つ選手全員から伝わってくる大会っていうのは、なかなか経験できないので」
チームはスペインとの準々決勝に敗れ、ベスト8に終わった。ピッチに立ったからこその皮膚感覚が、身体の芯に残っている。
「スペインに負けましたけど、めちゃくちゃ差があると実感したわけじゃないんです。たぶんいろいろな要因で、いろいろなところに、差があるんだろうなっていうふうに感じました。その差が何なのかは、正直わからないですけれど」
0-3というスコアほどの差は、なかったのかもしれない。それでも、たしかに差はあったのだ。
「スペインは世界大会で毎回と言っていいぐらい上位に進出していて、連戦も経験している。そこに対する余裕とか経験値みたいなものは、試合をやっていて感じました。そこはちょっと差があるのかなって。
一人ひとりがタフなリーグでやっているので、シンプルに身体的なところについてもちょっと差を感じました。ピッチ上だけでなく、試合に入る前の準備とか、メンタルの持っていき方とか、そういうところも自分たちはまだまだだったかな、というのもあります。感じ方は人それぞれでしょうが、僕はそんなふうに思います」
グループステージから突破力を見せていた斉藤を、スペインは要注意人物と見なしていた。スペースと時間を、確実に奪い取ってきた。
「警戒されているなっていうのは、少し、感じました。そのなかでも1対1になったらしっかり抜いて、ゴールやアシストをしていかなきゃいけない世界なので。相手に警戒されようが、自分のコンディションが悪かろうが、結果を残せるような選手にならなきゃいけない、と思っています」
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著者プロフィール
戸塚 啓 (とつか・けい)
スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専
門誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より 7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグ ワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本 サッカー』(小学館)