サッカー日本代表で際立つ「大卒」選手 ただ、欧州トップ10クラブでプレーするために必要なのは? (3ページ目)
W杯の"組替え戦"と呼ばれるCLでプレーする選手が増えなければ、代表チームの力も上がらない。W杯で戦う際、顔役となる知名度の高い選手が少なければ、相手に対し脅しも効かない。W杯でベスト8以上を掲げるのであれば、チャンピオンズリーガーの数でもベスト8以上を目指したいところだ。
だが、日本には大卒37%の壁が立ちはだかる。
それにしても、選手はなぜ大学に行くのか。経済的な問題もあるだろうが、それ以上に言えることは、Jリーグ及びJクラブにプロクラブとしての魅力を感じないからではないか。本場感の不足。筆者にはそう映る。大学進学者が増える一方で、Jリーグを経由せずに欧州に渡る選手たちもいる。高校を卒業するやシュツットガルトBチームの門を叩き、今季トップチームに昇格するやCLに3戦連続出場しているチェイス・アンリは、その代表的な選手である。
地元密着という理念に向かい邁進しているJリーグ。100年構想は着々と進んでいる。大成功しているかような報道が目につくが、高学歴問題、そしてJリーグが魅力的に映らないという問題のふたつは、日本サッカー界にこれから徐々にボディーブローのように効いてくるだろう。見過ごすことはできないのである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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