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サッカー日本代表は攻撃的3バックなのにボール保持できない? サウジアラビア戦完封も気になるデータ (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【中盤のデュエルで負けているデータ】

 もうひとつ、日本がボールを支配できなかった要因として、サウジアラビアが巧なパス交換とドリブルに加え、球際の強さによって日本のボール奪取を回避し、日本陣内に進入することができた点も挙げられる。

 選手のクオリティと言ってしまえばそれまでだが、とりわけ中盤での五分五分のデュエルで日本の選手を上回っていたことが形勢を有利にし、逆に日本は最終ライン以外でボールを落ち着いてキープできなかった。

 たとえば日本の場合、ボールキープの肝となるのはチームのへそに位置する遠藤と守田になるが、この試合では遠藤がデュエルで負けた回数がチーム最多の8回を記録。続いて多かったのが、堂安の7回、守田と三笘の5回。サウジアラビアの中盤3人がいずれも3回だったことと比べても、中盤での劣勢ぶりがうかがえる。

 移動や気候といったコンディション、あるいは相手の守備の狙いといった影響もあるだろうが、ボランチがボールを奪えず、ロストした回数も多かったという事実は、ボールを支配できなかった要因のひとつとして見るべきだろう。

 相手のプレス回避をはじめ、先制点につながった守田の攻撃参加など、日本のダブルボランチには称賛すべきプレーが目立っていたのは間違いない。しかしその一方で、試合の構図に大きく影響する肝心のデュエルで苦しんでいたことも、見逃せない部分だった。

 いずれにしても、こういった現象が起きてしまうと、当然ながらチーム戦術は機能しなくなる。世界のトップチームには個の力でやすやすとチーム戦術を破壊する選手が多く存在するだけに、サウジアラビア相手に個で勝てないようだと、W杯でベスト8以上を望むのは難しい。

 技術やデュエルで日本の選手が劣っているとは思えないので、そこはコンディション次第でクリアできるかもしれないが、少なくとも、この試合で苦戦したことは事実。今後も、チーム戦術が機能したかどうかを見るうえで、確認すべきポイントと言える。

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