サッカー日本代表は攻撃的3バックなのにボール保持できない? サウジアラビア戦完封も気になるデータ (2ページ目)
【新プレス回避は精度向上が課題】
3-4-2-1の布陣では、自陣に押し込まれた場合、両WBが下がって5バックを形成しがちだ。これまでの日本も、3バックを採用した時の課題とされていた点だが、この試合では「対策の対策」を披露。ダブルボランチの一角、主に遠藤航、時に守田英正が3バックの間に落ちて4バックを形成することで、ビルドアップ時の数的優位に転じ、後ろが重たくなる5バック状態を回避した。
その際、左シャドーの鎌田大地が2トップのように上田と並び、2列目には堂安、南野拓実、守田、三笘が並んで4-4-2、局面によっては4-3-3に可変。かつて森保監督の下で4-2-3-1から3-4-2-1に可変した「つるべ式3バック」の逆パターンとも言える「つるべ式4バック」で、サウジアラビアの前からのプレスを回避してみせた。
これを前半8分頃から見せたことは、今後に向けた好材料と見ていいだろう。これまで日本が抱えていたプレス回避の課題における進化の兆しとも言える。
ただし、その練度はまだ高くなかった。前からはめられなくなったサウジアラビアが、一転してミドルゾーンで4-5-1のブロックを形成すると、前からのプレスこそ回避できたものの、相手が日本の両WBやシャドー2枚へのパスコースを切ったこともあり、日本が前進するための明確なルートはふさがれたまま。結局、最終ラインで横パスを回すか、ラフなボールを相手DFラインの間や背後に蹴るしかなかった。
その点で、「つるべ式4バック」の精度を上げることも、課題として残された。
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