サッカー日本代表にパリオリンピック世代は割って入れるか 福田正博が期待の選手は? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【斉藤光毅はもっともA代表に近い?】

 GKの小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)もA代表入りに向けてステップアップしてもらいたい選手だ。昨季まで所属したベンフィカのセカンドチームでも出場機会は乏しく、試合経験の面で不安もあったが、五輪予選やパリ五輪を通じてポテンシャルの高さを示してくれた。

 惜しむらくは、スペイン戦で最初のシュートを防いでくれていたら、と思う。あのシュートはコンパクトで鋭い振りから放たれた対応が難しいシュートだが、小久保が触れるものだった。あのシュートに反応が遅れたのは、やはり試合経験の少なさが影響したかと思う。それだけに今季から移籍したシント・トロイデンでは試合経験を積んでもらいたい。

 彼のよさのひとつは、姿勢のよさにある。足元でボールを受ける時でも姿勢が崩れず視野を広くとれるため、相手FWからするとプレッシャーをかけにくい。こうして相手FWが飛び込んでこないと、小久保も安定してプレーできる。この部分での安心感は、鈴木彩艶(パルマ)よりも上だろう。

 ただ、ポテンシャルは証明したが、小久保がA代表に入るためには大迫敬介(サンフレッチェ広島)、前川黛也(ヴィッセル神戸)、谷晃生(FC町田ゼルビア)といった先輩たちの壁を越えなくてならない。また、日本代表守護神には、同世代の鈴木彩艶もいる。ただ、小久保が成長を遂げれば、日本代表GK陣のレベルは一気に高まるだけに、さらに飛躍してくれることを期待している。

 現状のパリ五輪世代で、もっともA代表に近いのは斉藤光毅(クイーンズ・パーク・レンジャーズ)だろう。日本代表の2列目は選手層がもっとも厚く、現状の斉藤ではスタメンで試合に出るのは難しいと思うが、彼のドリブル突破の能力はジョーカーとしての魅力がある。

 日本代表の左FWには三笘薫(ブライトン)がいて、中村敬斗(スタッド・ランス)も頭角を現わしている。ただし、中村はどちらかといえばゴール前に入っていくプレーが持ち味。斉藤にはサイドを切り裂いてチャンスメークができる選手として、三笘に代わってのジョーカーという役割があってもいいと思っている。

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