サッカー日本代表にパリオリンピック世代は割って入れるか 福田正博が期待の選手は? (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【藤田譲瑠チマには圧倒的な存在感を見せてほしい】

 中盤のポジションは東京五輪世代が充実し、選手層が厚くて割り込むのは容易ではない。だが、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)には期待をしている。パリ五輪で攻守において示した圧倒的な存在感、キャプテンとしての落ち着きなどは、遠藤航の後継者になれる可能性がある。

 藤田の特長は、他の選手に比べて圧倒的にボールをさばけることだ。プレービジョンが明確で、彼ほど縦パスを積極的に入れられる選手はなかなかいない。プレーの強度も高く、ボールを奪う能力もある。足元にボールが吸いつくようなコントロール技術があり、狙ったところに正確で速くて強いパスを出せる。

 藤田が秘めるポテンシャルは魅力的だが、A代表に入って中心的な存在になるためには、課題もある。そのひとつが所属クラブで安定して出場できるようになることだ。日本代表は一過性のパフォーマンスで選ぶものではない。今シーズンはまずは、シント=トロイデンでもパリ五輪で見せたような圧倒的な存在感を示してもらいたい。

 もうひとりは高井幸大(川崎フロンターレ)。

 現状の日本代表センターバック(CB)陣には、冨安健洋(アーセナル)、板倉滉(ボルシアMG)、町田浩樹(サン・ジロワーズ)、谷口彰悟(シント・トロイデン)、伊藤洋輝(バイエルン)らがいる。

 この顔ぶれに割って入れる力は、高井にはまだない。しかし、現在19歳ながらもU-23代表に入ってパリ五輪を戦った彼には、将来の日本代表を背負ってもらわなくては困るし、そこに向けた投資をしてもいいのではと思わせるものがある。つまり試合に起用する機会は少ないかもしれないがA代表に帯同させ、刺激を与えてレベルアップを促すのだ。

 それほど大事に育てたい逸材だ。身長は192cmで、現代サッカーのCBに求められる資質をすべて備えていると言っていい。フィード能力、ボールを運ぶ能力、空中戦の強さ、体のぶつけ合いに負けないフィジカル強度、スピードで縦を突く相手FWへ対応する足の速さ、足元でのボール扱いもうまい。

 関根大輝(柏レイソル)も楽しみな選手だ。パリ五輪では思ったような活躍はできなかったが、期待値は高い。日本代表の右サイドバック(SB)には菅原由勢(サウサンプトン)、毎熊晟矢(AZ)、橋岡大樹(ルートン・タウン)らがいて、菅原と毎熊は179cm、橋岡は184cm。

 クロスボールへの守備や攻守におけるセットプレーにおいて、日本代表のSBには高さもほしいなか、関根の187cmはひと際魅力的だ。攻守においてアグレッシブに動ける点も買っている。ただ、現時点で菅原、毎熊、橋岡を押し退けてまで使いたいかと言われると疑問符はつく。まずは守備の強度と安定感をスケールアップさせていきながら、A代表入りに向けたアピールをしていってもらいたい。

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