パリオリンピックでサッカー日本代表はもはや優勝候補 チームを支えるGK小久保玲央ブライアン (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 日本が優勝したU23アジアカップ(兼パリ五輪アジア最終予選)以来、小久保の存在感は増すばかりだ。

 とはいえ、このチームが一昨年にU-21代表として立ち上げられて以降の活動を振り返ると、小久保は長らくサブGKという位置づけだったと言っていい。

 なぜなら、このチームには現在A代表で正GKを務める鈴木彩艶がいたからだ。実際、公式戦、親善試合を問わず、このチームで最も多くの試合でゴールを守ってきたのは、鈴木彩だった。

 しかし、そんな流れに変化が見えたのは、昨年6月のヨーロッパ遠征でのことである。流れの変化、というより、小久保の心境に変化があった、と言ったほうが適切なのかもしれない。

 この遠征では、イングランド、オランダとの親善試合が組まれていたが、初戦のイングランド戦で先発GKを任されたのは、小久保だったのだ。

「はじめは(遠征に参加している3人のGKを)順番(に起用)なのかな、と思いましたけど、(大岩剛)監督から試合前日に『本当にプレーがよくなってきているから、おまえを先発に決めた』と言われました。イングランドに着いて4日間練習があったので、そのなかで監督にしっかりアピールして勝ち取ったのかな、と思っています」

 小久保は当時、ポルトガルの名門、ベンフィカに所属するも、「(クラブとしては)試合数が多いなかで、自分としては出場機会が得られてない。この2年くらいはこういう厳しい時間が続いている」状況にあった。

 だが、「そんなときでも大岩さんが気にしてくださっていたので、このチーム(代表)に対して自分もすごく思いはある」という小久保は、こんな言葉で胸の内を明かしていた。

「試合に出ていないとパフォーマンスはどんどん下がっていっちゃうので、代表(での活動)の機会は自分にとってプラスかな、と思う。今の自分にとっては、ベンフィカよりもこっちのほうが吸収するものがあるのかな、というのはあります」

 そして、そのイングランド戦では、このチームで出場した試合としては初めて無失点に抑えられたことを、何より喜んでいた。

「ヨーロッパ遠征でたぶん(チームとしても)初めてで、守備陣としてはそこが本当にうれしいこと。2-0で残り15分になって、(それほど攻められるシーンがなく)シュートが飛んでこなくても集中力をきらさず、守りきろうと決めていました」

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