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パリオリンピック男子サッカーイスラエル戦へ 絶好調・山本理仁の武器は技術だけではない

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

 2連勝で迎える1次リーグ第3戦・イスラエル戦。日本はこれまで中2日で戦っており、それが今後も続くため、主力をできるかぎり温存すると考えられる。ここまで2戦2発の山本理仁もしかりだ。

 第2戦・マリ戦でのゴールは、技巧派の山本のイメージを覆すものだった。

 大岩剛監督の「前半は耐えきり、後半勝負に出る」というプランで試合を進めていたが、この日は後半もゴールが遠かった。むしろ、マリに攻め込まれる時間帯も増えた。GK小久保玲央ブライアンが再三食い止めたが、際たるものは63分。自陣からシュートを打たれる絶体絶命のシーンで、長い左腕を伸ばしてセーブした。

「難しいポジショニングだった。しっかり我慢して、自分らしい腕の伸び方ができた」と守護神は胸を張った。後半、アディショナルタイムにPKを事実上防いだこともあり、この日のプレーヤーオブザマッチにも選出されたのには誰もが納得するところだ。

スマートな技巧派キャラから進化した山本理仁 photo by Watanabe Kojiスマートな技巧派キャラから進化した山本理仁 photo by Watanabe Kojiこの記事に関連する写真を見る 攻められ続け、消耗した試合。どうしてもほしい勝利は遠いかと思われた。だが82分、待望の瞬間は訪れた。

 自陣で山本が相手のパスをカット、そのまま細谷真生につなぐと、細谷が右サイドを一気に突破した。追いすがる相手を振りきり敵陣深くからの折り返しに、途中出場の三戸舜介が走り込むも合わせきれず、左サイドから詰めた佐藤恵允が右足シュート。これはGKにブロックされるが、こぼれたところに走り込んできた山本が押し込んだ。

「めちゃくちゃしんどかったですけど、マオ(細谷)があそこ、1本その前に同じような形があったので、入れてくれると信じていた」

 ある程度の予測があったからこそ、走り込むことができたという。

「あそこにこぼれてくれると信じて走り込んだのが点につながったと思うので、自分をほめてあげたい。得点というのは常に狙っていたし、どこにこぼれるかは研ぎ澄ませていた。いい形が出たと思う」

 自陣ゴール前から敵陣ゴール前まで、攻守に関わったことに胸を張った。

「見たらわかるとおり、(2戦で)2得点という結果にボックストゥボックス(のプレー)が出ていると思う。毎試合これが求められると思うので、しっかりリカバリーして次もやっていきたい」

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著者プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

【写真】パリオリンピックに臨むなでしこジャパン・北川ひかる

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