サッカー五輪代表のメンバー選考問題、福田正博の見解は?「OA枠の人選」「久保建英は招集できるのか」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【オーバーエイジ枠は誰になるのか】

 過去のオリンピックで何度も起きたことだが、五輪予選で活躍したからといってオリンピック本大会でメンバー入りできるとは限らない。五輪アジア予選の登録メンバー数が23人なのに対し、オリンピック本番は18人。しかも、18人のなかにはオーバーエイジ(OA)の3枠も含まれる。その厳しい選手選考を突破しなければならない。

 OA枠を"使う・使わない"や、使うなら誰を招集するかは、五輪のたびに議論されてきた。個人的見解を述べれば、五輪におけるサッカー史、世界におけるサッカーのあり方を見れば、オリンピックの目的は選手育成の場で、OAを使う必要はないと思っている。しかし「日本ではオリンピック重視」という考えがあることも理解したうえで、メダル獲得に向けたOA枠を使うと仮定した場合、誰を呼ぶべきかを考えてみた。

 OA枠のひとつ目は町田浩樹(サン=ジロワーズ)を呼びたい。本大会の短期決戦では守備での安定感と経験値がモノを言うだけに、世界での経験値があり、190㎝という高さ、左利き、CBのほかに左SBでもプレーできる町田は心強い選手だ。さらに鹿島時代は、大岩監督のもとでプレーした経験があり、監督が求めるサッカーへの理解やコミュニケーションに不安がない点も町田を推す理由だ。

 ふた枠目は左SBだろう。伊藤洋輝(シュツットガルト)ならCBもできるため、複数ポジションができるメリットも得られる。先述のとおり、五輪はOA枠を含めて18人しかベンチに入れられないうえ、そのうち2枠はGKになる。短期決戦の短い試合間隔でゲームを重ねていくなかでは、複数のポジションができる選手はやはり重要になるからだ。

 3人目はスペシャリストを入れたいところだ。試合を決定づける仕事ができる選手となると、真っ先に思い浮かぶのは三笘薫(ブライトン)だ。東京五輪ではコンディション不良で不完全燃焼な部分もあっただけに、五輪の舞台で彼が本領発揮する姿を見たくはある。

 しかし、能力の高い選手をOAで加えたとしても、準備する時間が足りなければ効果はない。リオ五輪時に遠藤は「オーバーエイジが本大会の1週間、2週間前に加わっても、チームは急には変わらない。時間をかけなければ融合は難しい」と語っていたが、そのとおりだ。

 もっとも大事なのはU-23選手たちとの融合で、東京五輪では森保一監督のもとでA代表の試合を使いながら、OAの吉田麻也、酒井宏、遠藤との融合がはかれたからこそ、本大会でも選手たちが連動できたのだ。

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