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サッカー五輪代表のメンバー選考問題、福田正博の見解は?「OA枠の人選」「久保建英は招集できるのか」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【A代表で見たい選手が何人もいた】

 選手個々のプレーを振り返れば、すぐにでもA代表で見たいと思わせる選手が何人もいた。筆頭は右サイドバック(SB)の関根大輝(柏レイソル)だ。攻守にハードワークができるのはもちろんのこと、攻撃の質が高い。クロスを相手GKが嫌がるところに上げられるのがすばらしい。

 なにより187cmの長身は魅力だ。世界的に両SBには高さのある選手が増えていて、日本代表にはこれまで185cmの酒井宏樹がいた。現在の日本代表右SBは毎熊晟矢(セレッソ大阪)が179cm、菅原由勢(AZ)も179㎝と低いわけではないが、関根の高さが加わればDFラインの高さへの不安はさらに小さくなるだろう。

 ただし、毎熊や菅原とのポジション争いに勝つためには、もっと全体的にスケールアップすることが不可欠。彼がもっと成長していくために、A代表のレベルを体験させて刺激を与えるのも手だと思う。

 キャプテンをつとめたボランチの藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)は"ポスト遠藤航"の最右翼だろう。いますぐA代表でプレーしても違和感なくフィットするのでは、と思う。

 彼の良さは、ボールを持った時のプレーの選択肢のなかで、常に相手が一番嫌がるパスが最上位にあるところだ。実際にパスを出すかは別だが、いつでもゴール前に縦パスを入れることを狙っている。

 相手にとって危険な臭いを発しているからこそ、相手は藤田がボールを持つと食いつくのだが、それをサッとかわすテクニックも持っている。だからこそ、彼の一挙手一投足は、ほかにはない雰囲気をまとっているのだろう。海外で経験を積みながらスケールアップをしていければ、遠藤(リバプール)を凌ぐ世界的なボランチになる可能性を秘めている。

 山田楓喜(東京ヴェルディ)もA代表に加わってもらいたい選手だ。山田は今季のJリーグでは7試合に出場して(5月13日現在。以下同)、すでにFKでのゴールがふたつ(計3得点)。このペースでシーズンを終えると、FKで2ケタ得点を記録するのではないかと思ってしまうほどだ。

 スピードボールを蹴って、曲げて落とせるのは、インパクトでの力の伝え方が抜群にうまいからだ。天性のものだろうし、練習の賜物でもあるだろう。

 日本は長年セットプレーからの攻撃を課題にしているだけに、山田の左足からのFKがA代表の武器に加わってもらいたいと思っている。ただ、それを実現するには伊東純也(スタッド・ランス)、久保、堂安律(フライブルク)といった日本代表の右サイドアタッカーとのポジション争いがある。FK以外の部分をもっともっと高めなければいけないだろう。

 GKの小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は、すぐにA代表でプレーしても問題ない力がある。A代表正GKの鈴木彩艶(シント=トロイデン)もパリ五輪世代だが、安定感という面にフォーカスすれば、小久保のほうが上だろう。現状では「スケール感の鈴木」か「安定感の小久保」という選択肢だが、このふたりがここから長年にわたって切磋琢磨しながら、日本のGKのレベルを世界屈指の領域まで高めてくれるはずだ。

 ほかにも、すでにA代表経験のある細谷真大(柏レイソル)、鹿島アントラーズからFC東京への移籍で復活した感のある荒木遼太郎、今大会でも成長を遂げたセンターバック(CB)の高井幸大(川崎フロンターレ)なども、A代表でのプレーが見たいところだ。しかし、まず彼らがフォーカスすべきは、パリ五輪本大会のU-23日本代表に名を連ねることだ。

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