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U-23日本代表が韓国戦で見せた「危うさ」 戦術的に勝負に徹しきれないプレーと采配 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【野澤の起用は「情」か?】

 そこで守備の脆さも出てしまった。前半終了間際に受けたカウンターは、3人が連続してボールホルダーへの寄せが甘く、ゴール前に入られている。後半にも、相手ひとりに対して3人が囲みながら、エリア内でシュートを打たれていた。完全に振られながらも食い下がる韓国のディフェンスとは、対照的だった。戦いに対する非情さのようなものが薄かったのだ。

 たとえば、今大会あれだけ好プレーを続けていたGK小久保玲央ブライアンを下げ、野澤大志ブランドンを先発させた理由が「できる限り、みんなに舞台を経験させたい」や「成長のため」という"情"だったら、アジアカップの際の鈴木彩艶と同じで、悪手だった。

 野澤は決勝点となった失点シーンで、ファーポストに飛んだコーナーキックに被ってしまっている。GKのミスと断じられるプレーだった(大外にいた半田陸もゾーンで突っ立っているだけで、完全にマークを見失っていたが)。野澤のミスはこれだけではない。前半もCKに被って触れず、そのままアウトになるシーンがあったし、後半はなんでもないシュートをキャッチしかけてファンブルしていた。明らかにナーバスで不安定なゴールキーピングだった。

 この試合の日本は、逆転で劇的に勝利していた可能性もある。

 終盤、たたみ掛ける波状攻撃は圧巻だった。セカンドボールの回収から襲いかかって、4、5回は決定機を作っていた。ラストプレーは、この日、一番美しい攻撃だった。ライン間でパスを受けた山本理仁が右サイドに通し、走り込んだ半田陸が折り返すと、大外で佐藤恵允がヘディングで狙った。その技量で韓国を翻弄したわけだが......。

 戦略的視点で言えば、小さな敗北だろう。しかし、戦術面で勝負に徹しきれなかったプレーや采配は、日本の危うさと言える。"前哨戦"に負けたことでグループリーグ2位になってしまい、準々決勝で開催国のカタール(ここまで、やや彼らに有利なジャッジが見られる)と戦う羽目になっているのだ。

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