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「湘南の貴公子」高田保則はワールドユース準Vから25年後、どんなセカンドキャリアを送っているのか (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【子どもの笑顔はゴールと同じぐらい気持ちいい】

 2012年1月から2014年7月まで『スポーツこころのプロジェクト』運営本部に所属し、2014年8月からは日本サッカー協会の『こころのプロジェクト』推進部に転籍した。夢を持つこと、夢へ向かって努力することの大切さを子どもたちに伝えていく『夢の教室』のスタッフとして、現在も忙しい日々を過ごしている。

「僕らは学校の時間で動いているので、春休み、夏休み、冬休みは実働していなくて、4月は来年度へ向けた準備をしています。ゴールデンウイーク明けからは、出張の連続になります。繁忙期は毎日違う学校へ行って、1カ月のうち20日から22日間は出張ですね。この仕事を始めてから、47都道府県すべてに行きました」

「ユメセン」と呼ばれる夢の教室のスタッフは、ディレクターとアシスタント、それに講師役の夢先生の3人で動く。ディレクターの高田は、訪問する学校との日程調整から当日の準備、さらには夢先生の交通手段の手配までを担う。

「始めたばかりの頃は、飛行機とか新幹線のチケットの取り方さえわからなかったです。講師の先生が20人ぐらいいるので、ほぼ毎日いろいろな調整をしています。繁忙期はめちゃくちゃ忙しいですが、トップレベルのアスリートの話を聞けるので、それはホントに貴重な経験です」

 ディレクターの高田自身が、心を揺さぶられることもある。

「東日本大震災の被災地のひとつの福島県南相馬市の小学校で、ラモス瑠偉さん(元日本代表MF)に話をしてもらったんです。めちゃめちゃ熱い話をしてくれました。素敵でした。子どもたちもすごく熱心に聞いてくれて。波戸康広さん(元日本代表DF)は『成功よりも成長だよ』と。日本代表にまで選ばれた波戸さんがそうやって言うのが、すごく格好いいですよね」

 コロナ禍ではオンラインで活動を継続し、2023年から対面でのカリキュラムを復活させた。高田の表情に笑みがこぼれる。

「子どもたちの笑顔とか熱量を五感で触れられるのは、何よりの喜びですね。ゴールを決めた瞬間と同じぐらい気持ちいい。いや、ちょっと言いすぎたかな(笑)。でも、ホントにいいですよ」

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