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U-23日本代表、韓国戦の敗因を分析 過度に慎重な姿勢から選手個々の力量まで

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 第1戦(対UAE戦)、第2戦(対中国戦)をほぼ固定メンバーで戦ったU-23韓国代表は、3戦目のU-23日本代表に対し、第2戦からスタメン10人を入れ代えて臨んだ。普通に考えるなら、最初の2戦に先発したメンバーがレギュラー組で、日本戦を戦ったメンバーはサブ組ということになる。

 対する日本は、2戦目のUAE戦からスタメンを7人代えてきた。1戦目から2戦目にかけても7人の変更だったので、まさに同じペースで韓国に向かったことになる。

 つまり韓国は、グループリーグ最強の相手である日本に対し、いかにも分の悪そうなスタメンを編成してきたことになる。日韓両国の総合力が互角なら、この一戦は日本が制しておきたかった試合となる。韓国は引き分けた場合に行なわれる順位決定のためのPK戦を、ある程度、試合前から覚悟していたと思われる。それまでの2試合とは一転、恥も外聞もなく5バックで引いて構える布陣に、韓国の姿勢は見え隠れした。

 日本は前半から、もっとお気軽に戦えばよかった。敗戦を振り返ったとき、結果論を承知で言えばそうなる。

 冷静に考えれば、次戦をカタールと戦うかインドネシアと戦うかを決める一戦にすぎない。両国の実力の差はともかく、韓国戦は、敗戦に特別大きな痛みを伴わない試合だ。にもかかわらず、日韓戦という名のせいなのか、日本は前半から過度に重々しく、慎重に戦うことになった。韓国の速攻を必要以上に怖がる姿勢は、韓国の術中にはまったのも同然。「絶対に負けられない戦い」という呪縛を自らかけてしまったような試合だったと言ってもいい。

韓国に敗れ呆然とした表情のU-23日本代表の選手たち photo by Kyodo news韓国に敗れ呆然とした表情のU-23日本代表の選手たち photo by Kyodo newsこの記事に関連する写真を見る CKのセットプレーで1点をリードするや逃げきりを狙い、時間稼ぎに走る韓国の姿を見るとなおさらだった。一方で、もう一度戦えば勝ちそうな気がする、ガッカリ感の少ない試合だったことも事実だ。評価の難しい試合である。

 ただし後半30分の決勝ゴールを奪われたシーンは、CKのボールが蹴り込まれる前から危うい予感がした。サッカーを観戦していると、何試合かに1度、今にも得点が入りそうなムードを感じる瞬間がある。このCKがそうだった。好ましくない空気に、場に居合わせた日本選手全員が飲み込まれているかに見えた。ムードを変えられる存在がいない若い集団が陥りがちな症状を露呈させたと言うべきか。

 飛び出しながらボールに触れなかったGK野澤大志ブランドン、競ったものの被り気味にボールをそらした半田陸だけではない。場の空気を払拭できないまま、相手のセットプレーを受けてしまった。U-23が故の仕方ない失点といえばそれまでだが、あえて指摘すればそうなる。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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