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U-23日本代表、韓国戦の敗因を分析 過度に慎重な姿勢から選手個々の力量まで (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【布陣を変更してもよかった】

 加えて敗因について言及するなら、攻撃のバランスだ。左右、中央という攻撃の3つのルートが均等に突けていなかった。奪われた際のリスクを考えると、外が多めになるのはやむを得ないが、基本的には内あっての外であり、外あっての内だ。この日、先発を飾った内野航太郎はポストプレーを得意とする選手だ。その生かし方についてアイデアが豊富だったとは言い難い。荒木遼太郎がボールほしさに下がると、ふたりの間隔は遠くなり、その結果、内野は孤立した。

 最終盤、大岩剛監督は1点リードされると、荒木と内野航太郎を下げ、山本理仁、細谷真大を投入した。4-3-3を崩さずに最後まで戦っている。しかし、「絶対に負けられない戦い」という前提に立つなら、布陣を崩してもよかったのではないか。

 前戦のUAE戦では終盤、内野航太郎と細谷を2トップにして前線に置き、4-4-2的な布陣に変更したが、たとえば、動きのよかった藤尾翔太を右ウイングから中央にコンバートし、内野航太郎あるいは細谷と2トップを組ませる考え方もあったはずだ。同じ左利きでも、山本ではなく山田楓喜を右ウイングに据えれば、攻撃度はワンランク上がったと思われる。

 内容的には5-0でもおかしくない試合を2-0というスコアで終えたUAE戦でも決定力不足は取り沙汰されたが、これを運がなかったとすることができる一方で、もう少し深刻に、構造的な問題と捉えることもできる。

 勝てたかもしれない試合を落とした原因を、さらに大きな問題と捉えるならば、選手個々の力についても言及する必要が出てくる。

 大岩監督は「誰が出場しても同じようなサッカーができる」と述べているが、それは裏を返せば、特別な力を持つ選手が少ないことを意味する。2戦目から7人を代えて臨んだこの一戦でも、実際、目立って出来の悪い選手はいなかった。揃って平均点以上のプレーをしていた。

 しかし、即、A代表でスタメンを張れそうな選手はどれほどいただろうか。細谷をはじめ、A代表に招集されたことのある選手は少なからずいるが、主力にはほど遠い。身体能力の高さを多くの人が称賛する松木玖生、視野の広さを称賛される藤田譲瑠チマも、好選手ではあるが、現状で代表入りに太鼓判が押せるまでには至っていない。鈴木唯人(ブレンビー)、斉藤光毅、三戸舜介(ともにスパルタ)、小田裕太郎(ハーツ)など、今回招集外になった欧州でプレーする選手にも、それは言える。

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