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U-23日本代表、韓国戦の敗因を分析 過度に慎重な姿勢から選手個々の力量まで (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【組織力はオールマイティではない】

 昔の話をすれば、A代表と五輪代表を比べ、「五輪代表のほうが強いんじゃないか」などと言われた時代があった。28年ぶりに本大会出場を果たした1996年アトランタ五輪の頃がそうだった。2000年のシドニー五輪もA代表と遜色ないメンバーで戦っている。若手とベテランが争えば、若手が勝つという構図が出来上がっていた。

 大岩ジャパンに平均的なプレーヤーは数多くいる。多くの選手に5段階評価で4はつけられる。だが、5はいない。個人の力で局面を大きく変えられる選手だ。それはチャンピオンズリーガーがまだ数人しかいない森保ジャパンにもあてはまる。日本の成績は組織の力の産物と言うべきなのだ。組織が整備されれば試合内容も安定する。韓国相手に6対4で優勢に試合を進めることはできる。だが組織力はオールマイティではない。それだけでは得点が奪えないこともある。ない物ねだりをするわけではないが、敗因を考えたとき、触れなければならない現実である。

 アンダーカテゴリーの目的は本来、勝利ではない。五輪を目指すU-23とて例外ではない。目的はひとりでも多くの人材をA代表に送り出すこと、もっと言えば、チャンピオンズリーガー級の選手を輩出することだ。そのあたりの追求が、メディアを含めて希薄に見える。勝ち負けに一喜一憂する傾向がある。皮肉的だが、それこそを韓国戦の敗因のひとつに加えたくなる。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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