パリ五輪予選メンバーに19歳の内野航太郎を抜擢 U-23日本代表は攻撃陣の機能がカギになる (3ページ目)
佐藤がこのチームの常連であるのに対し、平河はここに来て大きく評価を高めた選手だ。町田の躍進とそれは密接な関係にある。藤尾しかり。荒木を含めたまさしく"上がり馬"とでも言うべきユーティリティ選手の出現は、大岩監督にとって嬉しい誤算であるに違いない。
試合は「まず守備から」と言われるが、「まず攻撃から」という考え方があっても何ら不思議ではない。むしろサッカーらしい考え方と言える。このところ森保ジャパンがパッとしない理由は、「いい守備からいい攻撃へ」と「いい攻撃からいい守備へ」のバランスが悪いことに尽きる。キチンと攻撃できないことが苦戦を強いられている最大の要因だ。ボールが高い位置に納まらない点は、その大きな理由のひとつになる。この問題と大岩監督はどう向き合うか。
そうした意味で年少の内野航を選んだことは評価できる。しかし内野航太郎を選ぶなら、同い年の左ウイング、俵積田晃太(FC東京)も選んでほしかった――とは筆者の個人的な感想だ。
先述のFC東京対浦和戦に話を戻せば、ヒーローはゴールを挙げた荒木と松木だった。翌日、ふたり揃ってU-23日本代表に選ばれて、話は丸く収まったかに見えるが、浦和を最も慌てさせたプレーは、左ウイングで先発した俵積田のドリブルだった。
「理想的な攻撃を展開するためには、攻撃のルートを左、右、中央と3本確立することだ」と説いたのは、ビセンテ・デル・ボスケだが、それこそが五輪出場権獲得のカギだと筆者は見る。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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