パリ五輪予選メンバーに19歳の内野航太郎を抜擢 U-23日本代表は攻撃陣の機能がカギになる (2ページ目)
【荒木遼太郎0トップの可能性も】
日本サッカー界にはポストプレーヤータイプの選手が決定的に不足している。細谷もボールを収める力に優れているとは言えない。細谷の周り、たとえば4-2-3-1なら1トップを務める細谷の下にその手のプレーヤーが存在すれば、裏に抜けるプレーを得意にする細谷は生きる。だがA代表も含め、日本にはそのタイプが少ない。真ん中の高い位置でボールが収まりにくいサッカーに陥る傾向が強い。
その意味で、日本サッカー界に待望される選手像に内野航太郎はハマる。ほめすぎを承知で言えば、日本のマルコ・ファン・バステン(80年代、90年代に活躍した元オランダ代表FW。バロンドールを3度受賞)だ。希少なタイプであることは間違いない。ただし、それはあくまでもタイプの話であり、可能性の話だ。経験の浅いチーム最年少が攻撃の軸として機能するか。機能すれば日本のパリ五輪出場は視界良好となる。
3月のマリ戦で1トップを飾った184センチの藤尾も、ポストプレーが期待できる選手だ。さらにドリブル技術も備える。同戦では細谷が交代で1トップに入ると、右ウイングに回ってプレーしている。ユーティリティ性を評価されてのメンバー入りだろう。
荒木も1トップ候補に名乗りを挙げたと言うべきか。水曜日に行なわれたJリーグの浦和レッズ戦では、アビスパ福岡戦、川崎フロンターレ戦に続き4-2-3-1の1トップとしてスタメンを飾った。ディエゴ・オリヴェイラの1トップ下だったそれまでより、ポジションをさらに1列上げ、FW化したわけだ。
もちろん典型的な1トップではない。その下で構える松木とポジションを頻繁に入れ替わる、いわば0トップである。FC東京のピーター・クラモフスキー監督のこのアイデアに、大岩剛監督がどこまで感化されたか定かではないが、長い間燻っていた荒木をここに来て招集し、今回の23人に抜擢したところをみると、荒木の0トップ起用もない話ではなさそうに見える。
【ユーティリティ性が選考のキーワード】
純然たるウイングは平河、佐藤、山田楓喜の3人。このうち平河と佐藤は左右とも可能だ。そのユーティリティ性を評価してのメンバー入りだろう。今回の選手枠は、繰り返すが23人だ。26人で戦ったA代表のカタールW杯より3人少ない。パリ五輪本大会に至ってはわずか18人での戦いになる。ユーティリティ性こそが選考のキーワードになる。
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