日本代表の弱点がアジアに、世界中にバレた 得手不得手の落差をどう解決する? (4ページ目)
【接戦体質。勝ち損ねをどうなくすのか】
――これからの森保ジャパンは1-0で勝つサッカーに戻りますか?
西部 もともと1-0体質だと思いますよ。ただ点が取れていただけであって。森保監督のそこの大局観は僕は間違ってないと思うのは、W杯に行っちゃえばそうだから。ほぼ全部接戦なので。
1-0でも2-1か3-2かわからないけど、そこの僅差勝負をものにできるかどうかですよね。
清水 そうですよね。W杯で2-0とか言ったら、本当に完勝だなって感じがしますから。
西部 だから相手にボールを持たれても、自分たちが持っていても、膠着するのは一緒なんですよ。ただ、そうするとムラも出てきちゃうし、勝ち損ねる試合はどうしても出てきます。以前から変わっていないと思います。
ただ今の日本は、W杯と比べるとフィニッシュの能力がものすごく上がっていて、同じように塩試合をやっているんだけど、シュートが入っているんですよ。
清水 カウンターのチームって、相手がつないできてくれれば、大量点を取るんですよね。そういうのは親善試合では起こりやすかったのは間違いなくあると思うし、決定力の問題も最近は全然聞かなかった。
ただ、最終予選ではそうはいかない感じにやっぱりなりますよね。
親善試合って、短所はなかなか出ないし、直せないものですね。まあ、プレッシングがハマらない時のロングボール対策とプレス回避、プレス回避は昨年のドイツ戦ではうまくいったなってすごく感動しましたけど、実は出ている人次第でできなくもなる。まだ道としては完成度が高くなかったというところですね。
西部 僕はこのアジアカップは、ターンオーバーを試すひとつの機会だろうなと思っていたんですよ。
というのは、W杯のレギュレーションがまだはっきりしないところがありますが、メンバーを代えないで決勝近くまで行けるチームはまずないので、どこかでガラっと代えないといけない場面が出てきます。
そういう意味では2チームですね。ターンオーバーできるかどうか。戦力は充実しつつあるのは見えたので、アジアカップではそういう采配を見せるのかなと思ったんですが、イラクに敗れたことでちょっと難しくなった。
GKに彩艶を使ったりとか、いくつかのテストはしていたと思うんです。でも、遠藤航を最初から最後まで使って、一番重要な選手を一番疲れさせるってどうなのよ! というのもありますし、ちょっと思っていたイメージは崩れましたね。
清水 ひとつ気になっているのは、鎌田大地のことです。今回選ばれなかったのはクラブとの関係もあるかもしれないですけど、その前からちょっと序列が低くなりがち。なんか鎌田の扱いはどうなっていくのかは気になっていますね。
彼がいたら、やはりイラン戦のような状況は解決できるクオリティを持っていますし。
西部 W杯2次予選は、もうコンディションだけが問題だと思うんですよ。だからそんなにメンバーを揃えなくてもいいとは思っていて、新しい選手を使ってもいいんじゃないかと。
最終予選になると、そうも言っていられなくなるでしょう。もう間違いなくイラク、イランが勝って流れが変わったというか。もうみんな同じことをやろうとしてくる。
日本はそれに対して、しっかり勝っていく。これで何回もやられちゃうようだったらダメですけど、対策を立てられると思います。基本的には勝てそうな相手が抵抗してきているだけですから。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
清水英斗 (しみず・ひでと)
1979年岐阜県生まれ。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書に『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』(東邦出版)、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』(中央公論新社)、『サッカー好きほど知らない戦術の常識』(カンゼン)など。
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